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第51話 戦利品をいただきました

 なんとか気を取り直して俺はこの騒動を収める為の条件を提示した。


「"とりあえず、靴は弁償してくださいね? 俺、貧乏なので……"」


「"分かった、もっとずっと良いスニーカーを渡そう。約束する"」


 コーチっぽい人はようやく俺の目をちゃんと見て話してくれた気がした。


「"それと、柏木さんはムキになって追い出そうとしていましたが、俺としては一緒にこの運動場を使えると思うんです。なので、お互いに使う場所を決めて――"」


「"そ、それは結構だっ! 今は大事な時期だからな、これ以上君の走りを見てると選手たちの精神が破綻してしまう。私たちは別の運動場を探すよ"」


 コーチっぽい人は焦った様子で俺にそう耳打ちした。

 そして、まだ眉間にシワを寄せている柏木さんを見て頬に一筋の汗を垂らす。


「"他にも何か要求があればできる限り力になろう、それで私たちの無礼が少しでも許されるならな"」


「"だそうだ、山本。何でも言ってやれ、こいつらはスポーツメーカーのスポンサーがついてるからな、どうせ大金持ちだ、遠慮することはない"」


 柏木さんの「思う存分ふんだくってやれ」という視線を背中に感じながら、俺は一つだけお願いした。


「"――でしたら、それをいただいても良いですか?"」


 俺はそう言って、陸上のスタートの合図に使用するスターターピストルを指さした。


 柏木さんの身体がピクリと反応する。


「"これか? いくつかスペアを持っているし、別にかまわないが……こんなモノで良いのか?"」


「"はい! 実は撃ってみたかったんですよ!"」


 俺がそう言うと、柏木さんは頬を赤らめて腕を組んだ。


「"お前がそれを欲しがっているなら、それで構わないだろう! ま、全く、子供っぽい奴だな!"」


 実は柏木さんがずっとスターターピストルをチラチラと見ていることが気になっていた。

 多分、撃ちたがっていたんだと思う。


 これなら、柏木さんも納得するだろう。


 そうして、アメリカ代表選手団のみなさんは運動場を去って行った。

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