第50話 流れ弾が当たってます
選手たちとの一連のやり取りが終わった後。
コーチっぽい男性はかぶっていた帽子を外して胸に当て、急にニコニコ顔で俺に近づく。
「"私たちの完敗だ! 君の能力は凄まじい! ところで、君はアメリカに住んでいるのかな? もしよかったら退院後に私のところに――"」
コーチっぽい人はこれまでの態度を一変させて俺に名刺を渡す。
しかし、柏木さんがそれを奪い取って破り捨てた。
俺がやりたかったのに……嘘です、そんな度胸はありません。
「"まずは山本に謝れ"」
柏木さんはそう言って睨みつける。
俺ができないことをドンドンやってのける柏木さん。
そこに痺れる憧れる。
「"これは失礼いたしました。この度の私どもの無礼や横暴な態度に対して心よりお詫び申し上げます"」
コーチっぽい男性の上辺だけの謝罪を聞いて、柏木さんは咥えていたシガレットをかみ砕いた。
「"なにぬるいことを言ってるんだ? 選手も含めて全員で山本に土下座に決まっているだろう。誠意のある謝罪というモノを私はそれ以外知らん"」
柏木さん、俺の為に怒ってくれているのは嬉しいですがそれはやりすぎです。
むろん、コーチっぽい人や選手たちも狼狽える。
「"そ、そんなの無理だ! 一体どこまで人間として落ちればそんなことができるんだ!?"」
「"そうだそうだ! そんな事したら俺だったら恥ずかしくて生きていけないぜ!"」
「"ましてや女性の前でだなんて! 男として完全に終わってる!"」
実際に柏木さんに向かって全裸土下座をかましたことのある俺の心に彼らの言葉の銃弾が直撃する。
「"まぁ、それは冗談だが。山本に対する無礼を私個人としてはそれくらい憤っているということだ。あとその……そんなに言ってやるな"」
意図せず流れ弾が当たってしまい、柏木さんは気の毒そうな表情で俺を見た。
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