表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

49/135

第49話 山本の真の実力

 

 ――パァン!


 銃声が鳴る。

 いや、陸上のスターターピストルを銃声と言って良いのか分からないけど。


 俺が走り出す瞬間にはすでに横並びの選手たちの背中が見えていた、つまりだいぶ出遅れている。


 とはいえ、試合を諦めようとは微塵も思わなかった。

 少しでも追いつこうと俺は右足から思い切り地面を蹴とばす――


 すると、5歩走った頃にはもうすでに俺の視界から選手たちは消えていた。


 ◇◇◇


 俺はなんと、そのまま一着でゴールすることができた。

 人生で初めての一着……運動会でいつもビリだった俺に見せてやりたい。


 直後にゴールラインを切った他の選手たちは荒い呼吸をしながらうなだれる。

 コーチと思われる男性は大口を開いたまま目を見開いて固まっていた。


 柏木さんは満面の笑みで俺に駆け寄ってラムネシガレットを渡してきた。


「やったな山本! ほら、ご褒美だ!」


「あはは、犬じゃないんですから」


 とか言いつつ、しっかりとラムネシガレットをいただいて口に咥える。

 もう犬でいいです、柏木さんの犬になりたい。


 選手たちは息が整わないまま、怒りの形相でそんな俺と柏木さんに詰め寄ってきた。


「"ふざけんな! てめぇらやりやがったな!"」

「"明らかなドーピングだ!」

「"そのタバコみたいな白い棒も怪しいぞ!"」


「"これはただのラムネ菓子だ。お前らも負けたんだから食え"」


「負けても食わされるのか……」


 俺がラムネシガレット過激派の怖さを甘味と共に味わっていると、柏木さんはやれやれといった様子でため息を吐きながら首を振る。


「"そもそも、山本は走る前にずっとお前たちの前に居ただろう? ドーピングなんてする暇はなかった"」


「"じゃ、じゃあシューズの方だ! 反則になるドーピングシューズを使っている!"」

「……え?」


 指摘され、俺は心の中で冷や汗を流す。


「"そのとおりだ! こいつの靴は運動靴にしては異常に底が厚い!"」

「"バネが入っているに違いない! 見せろ! 隠すな!"」


 俺が自分の靴を隠そうとする態度を見て周囲はヒートアップする。

 流石に隠し切れないと観念した俺は自分の靴を見せた。


 ABDマートのセールで買った激安スニーカーを。


「"えっと、すみません。こんなモノを履いて走ってしまって……"」


「"お前、普通のスニーカーで走っていたのか? 流石にそれはダメだぞ。怪我したらどうする"」


 やっぱり柏木さんに叱られた。


 選手たちは言葉を失って顔を見合わせる。


「"ス、スニーカー? ちゃんとした運動靴ですらないのか……?"」


「"違うんですよ、本当に履き替えるつもりだったんですが走り終わった後に気が付いて……。俺もクラウチングスタートだったら足をハメる時に気が付いてたんですけど……あはは"」


 軽く冗談交じりに言い訳をするが、誰も目が笑っていない。

 神聖な陸上競技を侮辱してしまい、本当に申し訳ございません……。


 選手たちは俺からシューズを奪い、自分たちで履いて確かめ始めた。

 全く信じられないかのように何度も何度も確認する。

 果てはシューズを側面から踏みつぶして破壊し、中身も確認された。


「"ほ、本当にただのスニーカーだ……信じられん"」


 いや、俺の靴を壊された方が信じられないんですけど。

 ブックマーク、評価を入れてくださったみなさま!

 本当にありがとうございます!

 まだしていない方はしていただけますと嬉しいです!


【お知らせリベンジ】

 昨日もお知らせしましたが、自作の、


『クラスで陰キャの俺が実は大人気バンドのボーカルな件』


が下にスクロールしたリンク先から読めちゃいます!(全部ではありませんが!)

 書籍の特典ですが、妹ちゃんの描きおろし漫画と凛月が椎名に海に連行されて遊ぶ特別書き下ろし小説、さらにカバーを外すと……!? 真実はみなさんの目で確かめてください!


 山本君の青春リベンジも引き続きよろしくお願いいたします!<(_ _)>ペコッ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓のタイトルをクリックすると他作品のページに飛べます↓
連載版始めました!
下のタイトルを押すと読みにいけます!
『【連載開始!】ライブ直前に怪我をしたアイドルの代わりにステージに立ったら、マネージャーの俺の方が大人気になってしまった件』
作品のブックマーク・☆評価お願いします!
<(_ _)>ペコッ
小説家になろう年間1位!
下のタイトルを押すと読みにいけます!
『クラスで陰キャの俺が実は大人気バンドのボーカルな件』
漫画も発売中!

    
新刊!7月25日発売!予約受付中!
『山本君の青春リベンジ!』
  ▼▼▼ 画像をクリックすると、書籍情報に飛びます! ▼▼▼  
表紙絵
  ▲▲▲ 画像をクリックすると、書籍情報に飛びます! ▲▲▲  
新刊!次巻は8月発売!
『【漫画】ギルド追放された雑用係の下剋上~超万能な生活スキルで世界最強~』
  ▼▼▼ 画像をクリックすると、漫画を読めます! ▼▼▼  
表紙絵
  ▲▲▲ 画像をクリックすると、漫画を読めます! ▲▲▲  
― 新着の感想 ―
[良い点] 100mで強化選手に勝つ。山本君は9秒台で走ってるですよね。 まぁ素人相手に9秒76をだすとは思えないけど。リベンジマッチは冗談抜きに9秒75出しても山本君に抜かれるかな? 山本君のタイム…
[良い点] 全部 [気になる点] 更新速度 [一言] 今回は気になる点の言及のため感想を書きました。 ここ2日更新されてませんが、一日一話くらいは更新してほしいです。続きが気になっていつもページ更新し…
[良い点] うーん 面白い、1話から49話まで一気に読んでしまいました。続きが大変気になります。 [気になる点] ありません [一言] 今までにない人物設定で良いですね。 これからも期待しています。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ