表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/135

第30話 決意の表明

 とても辛い治療になる……。


 柏木さんにそう言われたが、俺は諦めるわけにはいかなかった。

 千絵理が俺を家に連れて行ってくれて、蓮司さんが俺に与えてくれたチャンスだ。

 絶対に無駄にはできない。


 そしてなにより――


「やるからには俺は完全にやり遂げたいです。蓮司さんから聞きましたが、今回俺が成功すれば日本でも薬の認可が下りるらしいじゃないですか。だったらそのためにも頑張りたいです」


 俺がそう言うと、柏木さんの瞳の色が変わったような気がした。


 なんていうか、疲れ果てているかのようなハイライトのない瞳に光が灯ったような――。


「……君はそんな気持ちで今回の治験に挑むのか?」

「えっ、何か変なこと言いましたかね?」


 柏木さんは首を横に振った。


「いいや、大層ご立派だと思ってね。肥大症なんて病気は理不尽の塊のようなモノだ。世間からは自身の不摂生が原因の『肥満』だと思われ、自業自得だと嘲笑されイジメの対象にされる。患者はみな自分の為に必死になるし、大抵は性格が歪んでしまうモノだから」


「た、確かにそれは分かります……俺も割とそういう人生を歩んできましたから」


「日本には差別がないと言われているがそれは大きな間違いだよ。外見至上主義ルッキズムという差別は世界中に蔓延している。むしろ単一民族国家の日本にとってはひと際大きな現象となっているんじゃないか? 違いを認める文化がないからこそ問題に気が付きにくい。例えばそうだな……何か、人々の心に刺さるような有名な作品でも生まれれば――」


 そう言いかけると、柏木さんは悩ましげに頭を振った。


「話が逸れたな、私の悪い癖だ。話が長いのもな」


 柏木さんが何となく疲れているように見えるのは、今までの患者さんたちがみな肥大症のせいで性格に難があったからなのだろうか。

 俺が自暴自棄にならずに済んだのは彩夏がずっとそばで励まし続けてくれたおかげだろう。


「とにかく、これから治療が始まって、それがどんな結果であれ終了するまでお前はこの病院内での生活になる。飲食の分量、新陳代謝と運動強度など細かくデータを取らせてもらうから間食も外出も禁止だ」


「うへぇ……」


 こうして、俺のアメリカでの生活は、自由の国とはかけ離れた軟禁状態で開始されたのだった。

今日はここまで、1話が短く申し訳ございません!

明日も投稿頑張ります!


読んでいただき、ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓のタイトルをクリックすると他作品のページに飛べます↓
連載版始めました!
下のタイトルを押すと読みにいけます!
『【連載開始!】ライブ直前に怪我をしたアイドルの代わりにステージに立ったら、マネージャーの俺の方が大人気になってしまった件』
作品のブックマーク・☆評価お願いします!
<(_ _)>ペコッ
小説家になろう年間1位!
下のタイトルを押すと読みにいけます!
『クラスで陰キャの俺が実は大人気バンドのボーカルな件』
漫画も発売中!

    
新刊!7月25日発売!予約受付中!
『山本君の青春リベンジ!』
  ▼▼▼ 画像をクリックすると、書籍情報に飛びます! ▼▼▼  
表紙絵
  ▲▲▲ 画像をクリックすると、書籍情報に飛びます! ▲▲▲  
新刊!次巻は8月発売!
『【漫画】ギルド追放された雑用係の下剋上~超万能な生活スキルで世界最強~』
  ▼▼▼ 画像をクリックすると、漫画を読めます! ▼▼▼  
表紙絵
  ▲▲▲ 画像をクリックすると、漫画を読めます! ▲▲▲  
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ