表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/135

第28話 アメリカは地獄でした

 アメリカ南部、サウスビーデンの大学付属病院。


 アメリカに到着した俺は蓮司さんにもらった紹介状を頼りに、この巨大な病院の一室に招かれていた。


 紹介されて、目の前にいるのは大きめの白衣を身に着けた美人なお医者さん。

 日本人で、名前は柏木百合(かしわぎゆり)さんだ。


 年齢は何と俺と同級生の16歳。


 渡米した後、飛び級で卒業して医薬品開発者になり、開発した『肥大症』の新薬の治験を自ら担当したいと申し出て今に至るらしい。

 何ともアメリカらしい天才話だ。偉そうな態度も頷ける。


 そんな彼女が綺麗な脚を組んで気だるげに英語で話す。


「"お前には、地獄を見てもらうことになる"」


「――え?」


 俺は彼女の正面の椅子に座りながら聞き返した。


 きっと彼女の綺麗な脚や顔に見とれてしまったせいで聞き間違えたのだろう。


 hell(地獄)とhealth(健康)を間違えたとか、そんなオチだろう。


「"すみません、英語はまだ未熟で……。日本語だとどういう意味になりますか?"」


 俺がたどたどしい英語で尋ねると、今度は流暢な日本語で返ってくる。


「『お前には、地獄を見てもらうことになる』だ」


「じゃあ、フランス語では?」


「残念ながらどの言語でも同じさ。意味は変わらない」


「いくつかの言語を経由すれば英語に戻ってきた時に多少はマシになっているかもしれないと思いまして」


「『地獄』の部分が『天国』に変わっているかもしれないが、そうなるともう手遅れだな」


 本場のアメリカンジョークのようなモノを聞きつつ、俺は治療について詳しく聞くことにした。

 柏木さんは面倒そうに口を開く。


「『肥大症ひだいしょう』は水分を吸って脂肪が膨張する病気だということは知っているな? これは確かに投薬によって改善することができるだろう」


 タバコの代わりだろうか、日本の駄菓子であるラムネシガレットを咥えて柏木さんは話を続ける。

 何だか懐かしいなと思いつつ俺は静かに聞いた。


「だが、脂肪から水分を押し出す作業は君自身の身体で行わなければならない。身体の内側から燃焼して発汗する。つまり、運動が必要だ」


 柏木さんは次に机から複数枚の過去の被験者と見られる者たちの資料を広げて見せてくれた。


 紙にはいずれも『retired(リタイア)』と印字されている。


「生半可な運動では薬の効果は発揮されない。また、長引くと薬自体の効果も効きが悪くなってしまう。『肥大症ひだいしょう』の患者はその見た目のせいで9割以上が引きこもりで、運動などロクにしてこなかった人間だからな。それがいきなり飲み物の制限を課されて毎日激しいトレーニングだ」


 柏木さんはラムネシガレットを口から離すと、煙でも吐き出すかのようにため息を吐いた。


「――ご覧の通り、途中で治療を挫折する者がほとんどだよ」


 柏木さんの言う、『地獄』の意味が少し分かってきた。

 治療編はプロットがかなり良い感じに書けたので、ぜひ最後まで読んでいただけますと幸いです!(短く済ませる予定です!)


ひきつづき、よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓のタイトルをクリックすると他作品のページに飛べます↓
連載版始めました!
下のタイトルを押すと読みにいけます!
『【連載開始!】ライブ直前に怪我をしたアイドルの代わりにステージに立ったら、マネージャーの俺の方が大人気になってしまった件』
作品のブックマーク・☆評価お願いします!
<(_ _)>ペコッ
小説家になろう年間1位!
下のタイトルを押すと読みにいけます!
『クラスで陰キャの俺が実は大人気バンドのボーカルな件』
漫画も発売中!

    
新刊!7月25日発売!予約受付中!
『山本君の青春リベンジ!』
  ▼▼▼ 画像をクリックすると、書籍情報に飛びます! ▼▼▼  
表紙絵
  ▲▲▲ 画像をクリックすると、書籍情報に飛びます! ▲▲▲  
新刊!次巻は8月発売!
『【漫画】ギルド追放された雑用係の下剋上~超万能な生活スキルで世界最強~』
  ▼▼▼ 画像をクリックすると、漫画を読めます! ▼▼▼  
表紙絵
  ▲▲▲ 画像をクリックすると、漫画を読めます! ▲▲▲  
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ