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第16話 文芸部と交わした約束。その1


「えぇ!? 山本君、1年間もアメリカに行っちゃうの!?」


 ――放課後の文芸部。


 千絵理を家まで送った後に部室に来た俺は、治験の件を3人の先輩の前で話した。


 足代あじろ先輩は驚いて紅茶を注いだティーポットを手から落としたので、俺が慌ててキャッチしたが、その直後に今度はカップの方をひっくり返してしまっていた。


「あぁ! ま、また山本君の紅茶がっ!?」

「隙を生じぬ二段構えとは。足代氏、やりますなぁ。さながら諸葛孔明のような巧妙さ」

「くそ、また足代君が紅茶をこぼす未来を変えられなかったか。もう一度過去に戻らなければ…!」


 吉野先輩と高峰部長は見慣れた光景のように軽口を飛ばした。


「ごめんね、本当にごめんねぇ~」


 足代先輩は半泣きでかがんで床の紅茶を雑巾で拭き始めた。

 放課後の足代先輩はワイシャツを緩めている状態なので見えてしまいそうで非常に危ない。

 決して見ないように注意しつつ、俺も一緒に雑巾を持ってこぼれた紅茶を拭く。


「山本の話も気になるところだが、とりあえず紅茶を淹れなおしてからでもいいだろう」

「そうですな、お二人とも。また雑巾を洗ってケトルに水を汲んできてくだされ」

「はいぃ~、山本君。また付き合わせてごめんねぇ~。うぅ、先輩失格だ……」

「いえいえ! 驚かせた俺も悪いので!」


 足代先輩の後ろをついて行こうとする俺に吉野先輩と高峰部長は近づいてこっそりと囁いた。


「山本殿、足代氏は彼氏がおりませんぞ。今が攻める好機なり!」

「な、何を言ってるんですか!? 俺なんかが足代先輩となんて――」

「大丈夫だ、山本。前回二人で水汲みに行った後の足代君は分かりやすく上機嫌だったからな! 脈ありだ!」

「そ、それは事情があって――」

「山本君~? どうしたの~?」


 足代先輩が不思議そうに振り返って俺を呼んでいた。


「いや、急かしていないから《《ゆっくり》》行ってきていいぞと山本に言っていただけだ!」

「そうですぞ、我々はただ吉報を待つのみ! お二人で談笑でもしながら行ってくだされ!」


 そう言って二人は俺の肩をバンバンと叩きながら誤魔化す。

 足代先輩は小首をかしげた後に笑顔で俺を誘った。


「は~い! じゃあ山本君、行こう!」

「は、はいっ!」


 お二人のせいで変に意識してしまいつつ、この前と同じように俺は足代先輩と水道に向かった。

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