第132話 学校での様子
【前書き】
文芸部の先輩、足代さん視点です。
――キーンコーンカーンコーン。
帰りのホームルームが終わると、生徒たちは自分の鞄を持って次々と席を立ちあがる。
この後どこに行く~? とか、
新しいリップが出たんだ~とか、
友達との楽しいおしゃべりがガヤガヤと始まった。
6月の今日、まだ空調が必要なほどの暑さじゃない。
それでも、私、足代結仁は一人心臓の鼓動を速めて体温が高まっていた。
(きょ、今日こそは言わないと……! ちゃんと、『自分でやらないとダメだよ』って)
深くを呼吸すると、やがて予想通り声がかけられる。
「地味子~! 今回も私の分の日直と委員会の仕事頼むね~w」
(来たっ!)
思わず、心臓が跳ねる。
『地味子』はクラスでの私のあだ名だ。
私はコミュ障だから、前髪を長くして誰とも話さないようにしてきた。
その結果、クラスでこんな風に呼ばれるようになってしまった。
声をかけてきたのはお化粧をバッチリとキメたクラスのギャル、大石さん。
そして、彼女と仲良しな前田さんと中村さんがニヤニヤと笑いながら私を見ている。
自分の机に視線を落としたまま、私は言った。
「あ、あのっ! 日直の仕事も委員会の仕事も、自分でやった方が……い、良いと思うんですけどぉ……」
覚悟を決めたはずなのに、声が尻すぼみになってしまった。
やっぱり本人を前にすると怖い。
私の力なき意見に大石さんは長いため息を吐いた。
「あのねぇ~、私たちは根暗な地味子と違って忙しいの。あんたは家に帰ってゲームしたりアニメみたりして、漫画描いて遊んでるだけでしょ?」
「ま、漫画は遊びじゃないよ? 私は本当にプロを目指してて……」
「だ~か~ら~、あんたのそんなのより私たちが青春を謳歌する方が重要だっての」
「地味子と違ってアタイらって3次元の男捕まえないといけないからさぁ~」
「そうそう、女としての人生捨ててるアンタとは違うってワケw」
3人ともゲラゲラと笑う。
何も言い返せない。
なんとなく、一緒に遊ぶ友達すら居ない私の方が悪いような気がしてしまう……
「だから、あんたに任せるわ。今回もよろしくね~」
そう言って、私の肩をバシンと叩くと3人は談笑しながら教室を出ていく。
「そういえば昨日、1年生の教室に凄いイケメンが来たんだって~」
「マジ!? 写真とかないの!?」
「それが、すぐに出て行っちゃったんだってさ~」
「え~、どうにかして会わせなさいよぉ!」
そんな話を遠くに聞きつつ、また今回も私は仕事を押し付けられてしまった。
(うぅ……でも、誰かがやらないとみんなが困っちゃうし、やっぱり私がやるしか……。マンガ賞の原稿はまた睡眠時間を削って描けばなんとか……)
それに、明日は山本君が学校に転入してくる予定の日だ。
いっぱいお話ができるし、新しい紅茶も一緒に飲める。
今度はこぼさないように、何があっても驚かないようにしないと。
みんなで「お帰りなさい」って言って、ケーキも用意するんだ。
(ふふ、楽しみだな~。山本君とまた会えるの)
私はなんとか楽しいことを考えて自分を鼓舞しつつ、押し付けられた美化委員の仕事を始めた。
明日も投稿します!
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