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第122話 彼氏を演じます


 居間で言い争う声を聞いて、彩夏が呟く。


「あっ、藤咲さんのご両親がまだいらっしゃるみたい……」


「藤咲さんのご両親?」


 俺が尋ねると、彩夏は相変わらず目を合わせないまま説明してくれた。


「うん、藤咲さんのご両親は藤咲さんがお料理するの反対しているみたいで……。いつも喧嘩になっちゃうんだって」


「そうなのか……」


 彩夏の話を聞いて、俺は考える。


 ご両親はもしかしたら、自分の娘に幸せになって欲しいからこその提言なのかもしれない。


 でも、俺はアメリカで暮らして学んだことがある。

 幸せは人に言われて決めるモノじゃないってこと。


 柏木さんだってそうだ。

 俺のせいで学生生活もロクに送らずに青春を投げ捨てて研究に打ち込んだ。

 そんな生活も幸せだったと本人は断言している。


 リリアちゃんもそうだった。

 夜中に俺を連れ出して病院を抜け出した。

 そのせいで死にかけたけれど、後悔なんて微塵もしていなかった。

 自分らしく生きた結果だと言っていた。


 蓮司さんも、ジョニーさんもそうだった。

 みんな、自分の道を、意思を貫いて生きていた。


 正解なんて誰にも分からない。

 ただ、自分で選んだ道を正解にしていくのが人生だと思う。


(俺は一緒に仕事をして、一生懸命に努力する藤咲さんを見てきた……)


 藤咲さんはまだ自分が納得できるまでやり切れていない。

 俺はどうしても、藤咲さんが悔いなく自分の夢を追いかけられるように応援したい。


 そんな風に思いながら、俺は廊下からこっそりと居間の様子を覗き見る。

 口喧嘩に夢中で、俺たちが家に帰ってきたことは気が付かれていないようだった。


 言い争いはますますヒートアップしていく。


「そもそも、お前は今まで男の1人とも付き合ったことすらないだろう!」


「もう誰でも良いから、1人くらい男の人を私たちに紹介して安心させなさい!」


「――っ!」


 藤咲さんは悔しそうに唇を噛んだ。


 ご両親の言葉を聞いて、アイデアを思い付いた。

 『誰でも良い』その言葉の通りなら俺なんかでも良いはずだ。


 ひとまずこの場はご両親を納得させる。

 そのために、藤咲さんには申し訳ないけれど……。


「そんな様子だと男友達の1人すらも居ないんだろう?」


「……と、友達くらい。私にだって居る……」


「嘘おっしゃい! あんたのお姉ちゃんたちはみんなカッコ良い旦那さんを捕まえて、あんたを陰で笑ってるわ! あんたもいつまでも遊んでないで、さっさと――」


「ただいま、涼子」


 俺は廊下から現れると、藤咲さんを下の名前で呼ぶ。

 凄く恥ずかしいけれど、いつもそう呼んでいるかのようにこなれ感を出さないといけない。

 偽装の彼氏を演じるために――


「お父さん、お母さん、初めまして」


 俺は藤咲さんのご両親に頭を下げた。


「涼子さんとお付き合いさせていただいております。山本流伽と申します」


「……は?」


 藤咲さんは俺の名前を聞いて、顔を上げた俺に目を向ける。


 そして、固まってしまった。

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