第109話 お見送り その2
「"へい、ブラザー! 逮捕しにきたぜ! 危うく逃げられるところだったな!"」
そんな声に振り向くと、警察官の制服を着たジョニーさんたち――チーム『ブレイバーズ』のみなさんがいた。
「"みなさん! 今日は大切な初勤務の日だから来れないって言っていたんじゃ……"」
「"今朝、警察署に隊長様が来てな! 『今日は空港に見回りをしに行け』って言われたんだ。上官命令なら仕方がねぇだろ? 今は休憩時間だ"」
「"あはは、レベッカさん。昨日電話がかかってきて、俺に出発の時刻を聞いてきたんですがそういうことでしたか……本当に粋な人ですね"」
ブレイバーズの皆さんは一人一人俺と握手とハグをしながら談笑する。
「"兄弟のおかげで小さい頃からの夢が叶っちまった!"」
「"孤児院でもらったパトカーのオモチャをずっと宝物にしてきた俺が本物のパトカーに乗れたんだぜ! 信じられるか!?"」
「"警官の巡回ルートには孤児院の周りも新たに追加してもらったんだ! これまで以上に治安を守れるぜ!"」
俺は迷惑をかけただけのはずなのに、逆に沢山感謝されてしまう。
「"俺のおかげじゃないですよ。皆さんのこれまで活動や努力が、実を結んだ結果です"」
全員との別れの挨拶を終えると、『ブレイバーズ』のみなさんは一列に並ぶ。
そして、ジョニーさんたちは背筋を伸ばした。
「"兄弟、どんなに離れてても俺たちはファミリーだ"」
「"また悪い事したら、今度は捕まえに行くからなー!"」
「"給料が溜まったら日本にも遊びに行くからよ"」
「"向こうでも、お前らしく元気にやるんだぞー!"」
口々にエールを送ると、全員で敬礼した。
その姿を見て、俺は思わず笑ってしまう。
「"敬礼のポーズ、全員バラバラじゃないですか!"」
「"悪いな、まだ習ってねぇんだ。今はこれで我慢してくれ"」
世界一信頼のできる新米警官たちはそう言って笑った。
今日はあと1話投稿してます!






