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卒業パーティ当日

「やっぱりいらしてたのね。エドガー先生」


 ミシェル・ローレンが薬学準備室の扉を開けると、中央の椅子に腰かけているエドガー・フレミングに向かって微笑みかけた。

 すでに私物が運び出されているせいか、室内はどこか閑散としており、主であったエドガーもなにやら所在なさげに見える。


「今日は絶対ここにいらっしゃると思っていたのよ。アスランさまに婚約破棄されて泣きながら部屋に飛び込んでくる私の相手をするために、わざわざここで待ってらしたんでしょう? 違うかしら」

「その予定だったんだが、君はずいぶんと元気そうだな。婚約破棄はどうなったんだ?」

「予定通り破棄されたわよ。綺麗さっぱり。公衆の面前じゃなく、別室で三人だけの話し合いによるものだけどね」

 

 ミシェルはこれまでの経緯をかいつまんで説明した。


「だから破棄されない方法もあったのだけど、なんだか馬鹿馬鹿しくなってしまったの。だってふざけた話だと思わない? 私に感謝しているというなら、単に婚約破棄をやめれば済むだけの話じゃないの。なのにあの人たちと来たら、破棄しないことと引き換えに、あの女を愛妾として迎えることを認めろっていうんだもの。結婚後も妻公認で堂々といちゃつきたい宣言よ。陰でこそこそやるだけの気遣いすらないのよ。馬鹿馬鹿しいわ」

「それは同感だな」

「だから婚約を続けるのならアリシアさんとは別れてほしいと伝えたの。そしたら当然のように婚約破棄よ。まあ半分は私が断ったようなものだけど。ついでにアレックス殿下にもお断りしたわ。結婚してからもあのバカップルと関係ができるって、なんかいろいろ面倒だもの」


 ミシェルは軽く肩をすくめて見せた。


「そういうわけで、私はこれから新たな婚約相手を探さなければならないの。できれば年上で、口が悪いけど根はとっても優しくて、私の良いところを理解した上で、好きになって下さる方が良いのだけど……ねえ先生、そういう殿方について、心当たりはないかしら?」

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