3話:魔王を名乗る女が現れたんだが…。
「俺に…話があるって?」
ゼリのような魔物のイメージとは程遠い。しかし、あの角……俺の知っている人間ではない。これが上級の魔物なら、俺はとっくに死んでいるとも思える。
「あの、実は…」
やはり、俺は食べられてしまうのだろうか…。
「その、肩に乗っているのってこの辺の魔物…ですよね?」
ゼリはいつの間にか俺の肩にのっていた。
「あ…あぁ、そうだ。」
嘘をつく必要もないだろう。
「……ちょっとそこの魔物、こっちに来てください。」
ゼリは俺の肩から動くことはなく、微動だにしない。
「な、なんで……なんでなんで!」
「私の事は無視するのに!」
なにやら、睨まれている………ゼリが。
ふと俺の方へ向き直り、ムスッとした表情で俺を見つめる。
「教えてください! どうやったんですか!
なんであなたには従うんですか!!」
立ち上がったその角女は、俺より頭一つ分背が低い。その代わり、頭一つ分程の角が生えている。
「そ、それは…」
説明のしようがない。なぜなら、神によって与えられたチカラなのだから。
「そ、それより! 君はだれなんだ? 君ももしかして、魔物…なのか?」
正体はなんであれ、この世界で初めてコミュニケーションがとれる存在なのだ。話をそらすネタとして確認しておこう。
「私? 私は魔王ですが…? 」
「え、見てわかるでしょう。この角見えますよね?」
えっと、ちょっと待った…。魔王と言ったか?
この角女が…魔王!?
それは、上級の魔物とかいうレベルではない。その上に君臨する存在なのではないのか?
それに、俺がここに…異世界に送られた理由。この世界を脅かす存在。
俺は神に言われた。魔王を倒し、世界を救え…と。
「おーい、どうしましたぁ?」
しかし、しかしだ! 魔王がこんな…こんな…
「魔王がこんな可愛い訳ないだろ!」
「えぇぇぇ!? なに急に! ど、どうしたんですか!?」
「え、あの、今、こんなに…こんなに…!」
あ、まずい。つい、口に出てしまった…。なんてことを口走ってしまったのか。これは、いくら異世界とはいえどやはり、まずいのではないか。
…しかしなんだろう、この…この顔を赤らめた自称魔王は…。
「こんなに[小さい]訳ないって言いました!?」
ちっがぁーーーーう!! そんないじり方してないけど良かったーー!!
「もー、気にしてるんですからぁ!!」
「それに、身長は一緒でしょう!」
………角を合わせれば、ね。
口がへの字に固まってしまった自称魔王はどうやら、知能のないバカ…だが、魔物という存在とは違うようだ。
「ちょっと、君! 私の城に来てください!」
左手を腰にあて、右手の人差し指で俺の方を指し自称魔王はそう言った。
俺にまっすぐ向けられた自称魔王の瞳は、
赤色をしていた。
ストーリーはここから展開していきます!