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2 幼馴染みと過ごした夏は

 ミーンミーンと蝉が夏の終わりを告げ、雲一つない青い空のなか太陽がじりじりと肌を焼いている。歩いているだけで毛穴から汗が吹き出そうな、そんな高校からの帰り道。

「そういや、志望校決まったん?」

 駄菓子屋で買ったパピコのコーヒー牛乳味をパキッと半分に割って、その片割れを友人へと手渡すと、友人はその片割れを口にふくみながら淡々と答えた。

「おう、俺はX大学に決めた」

 X大学と聞いて思わず耳がぴくりと動く。それはもしかして、もしかしなくても。

「俺と一緒やん!一緒に大学入れたらまた仲良くやろなっ」

 嬉しさの余りすっかり弛みきった笑顔を向けると、幼馴染み君はあからさまに嫌そうな顔をする。

「ええ~、そんな顔せんといて。俺のパピコあげるさかい」

 まだ受かってもないくせに何喜んでるんだか。次の桜が咲く頃には同じ門を潜るのだろう、そしてまたこんな風に隣を歩くんだろう。そんな日が来ればいい、と友人が思っていることなど露知らず、必死でパピコを差し出し続ける少年の姿がそこにあった。

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