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序章
ネットの仕事紹介ページを当てもなく漁っていた時、ページの端に小さくあった紹介記事に目を惹かれた。
「稼動実験、テスター求む
成功報酬一億円(追加報酬あり)」
そのあまりに怪しげな内容と、仕事紹介ページには似つかわしくないその報酬額が、自然と応募に向けさせた。
数日後、面接があったがあっさりと通った。
どうやら採用の最低条件は「不眠症でない」ことらしかった。
あの時ほど自分の健康を誇らしく思ったことはない。
後日、説明会なるものが開かれたが、試験中の注意やら何やらというあまり必要とも思えない話であったので、適当に流して聞いていた。
存外、ぼくはゲームを始める前には説明書は読まない派である
そして実験の内容はRPGらしい。
その手のゲームは結構な数をやり尽くしてきたつもりだ。
何せ他人よりもよっぽど時間があったからな。
全く、自虐にしては少々心に刺さる。
この時までは、自分はただのゲームのテスターなのだ。と軽く考えていた。
そう、この時までは。




