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プロローグ
「死にたくない!」
その美少女が、あたしに向かって訴えかけてきた。
その衝撃的な言葉に心臓を掴まれ、思わず息を飲んだ次の瞬間──。
視界に入ったのはいつもの天井だった。
──夢か……。
それにしても、なんてリアルな夢だったんだろう。
耳の奥に、彼女の叫び声がこびりついている。
瞼を閉じれば、彼女の必死の形相が浮かんでくる。
死にたくない──って、どういうこと?
あたしが彼女を殺そうとしていた?
会ったこともない見たこともない人なのに?
まったく、どんな状況の夢よ?
推理小説やサスペンスドラマの見過ぎ?
あまりにも馬鹿馬鹿しくて、笑ってしまう。
目尻から温かいモノが溢れだし、耳の方へと伝っていく。
あたしは……死にたいよ……。