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朝からどっと疲れた。今日も変わらずイベントがあるのに、朝からこれでは体が持たない。
深い溜息とともに教室に入ると、色々な方向から視線を感じた。
「花ちゃん!」
誰もが遠巻きに私を見る中、彩だけが慌てたように私に話しかけてきた。
「赤原先輩に壁ドンされてたって本当!?」
彩の言葉とともに私への視線がきつくなった。主に女子の。
琳音に壁ドンされたのはついさっき。でも下駄箱という誰もが通る場所で起こってしまったからか、広まるのが早かったらしい。
「本当なの!?」
「えぇ〜と……、本当……です」
彩が途端に残念な人を見る目になった。
その理由は分かってる。ただでさえファンの多い琳音に壁ドンなんてされたとなったら、女子からの態度がきつくなるのは分かりきっている。ゲーム本編でも峰川を代表に、色々な人から目の敵にされた。そんな目にはあいたくないから、ここは一つ言っておこう。
「ただ私が琳音先輩に見とれてたら話しかけられただけだよ。かっこ良すぎて顔上げられなくてさ、私の顔を見ようと近づいてきたみたい。私の顔なんて見ても面白くないのにね〜」
私の乾いた笑い声が教室に響いた。
「花ちゃん、フォローになってないよ……」
「えっ!?」
いかにも琳音から迫ってきたように言ったはずなのに、私が悪いような視線を向けられてるのは何故!?
「まず先輩のことを名前で読んでること。赤原先輩は自分が許可を出した人以外に名前で呼ばれるのが嫌いなんだよ。本当に許可をもらってたんだね……。あと、花ちゃんは自分の顔をなんだと思ってるの!?花ちゃんの顔で見つめられたら、興味持ちますよ!顔見ようとしますよ!」
すごい勢いで言われた。ふわふわしたイメージの強い彩からは考えられない剣幕だ。
そしてそんな設定あったんだね……。ゲームでは普通に呼ばせてたから呼ばれるのが好きだと思ってたよ……。あと私はヒロインでしたね。顔が可愛いこと忘れてました。前世の自分は鏡を見るのが嫌いだったから、その名残で鏡を見ていなかったせいで今の顔なんて半分くらい忘れてた。
「頑張れ、花ちゃん」
彩がそっと私の前からいなくなった。そしてその後に立っていたのは、笑顔なのにオーラが怖い金剛だった。
とりあえず自分の席に座っていいですか?雰囲気からするとこの後ずっと立ちっぱですよね?ずっと立ってるのは足が疲れます。
今日はもう1話更新するつもりです。
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