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今回は短いです!

 放課後の校舎裏。私達二人は並んで座っている。


 「ふぅ〜ん。花ちゃんセンパイは悪役の峰川菜々子から逃げたいんだ」


 「そうそう。協力してくれる?」


 「全然いいよ〜!」


 現在放課後。

 話は戻すこと十五分前。朝と同じように下駄箱で待ち合わせた私と天野誠は、校舎裏で話すことにした。グラウンドから運動部の声が聞こえてくる。


 「天野君は転生者、なんだよね?」


 可愛い顔が私を見つめる。中性的な顔立ちなのに、雰囲気が男。だからか、油断ができない。


 「天野じゃなくて誠!そう呼んでくれないとお話しない」


 そう言って横をぷいっと向いてしまう。可愛いけど、それでは困る。


 「分かったよ。誠は本当に転生者なの?」


 誠はにっこり笑っている。


 「名前も何も覚えてないけどね〜。でも、多分姉がやってたこのゲームのことだけは覚えてる。だから花ちゃんセンパイを見つけられた」


 私よりも思い出せていないのかもしれない。声は明るいけれど、表情はあまり明るくない。


 「花ちゃんセンパイは前世のこと、ちゃんと思い出せる?」


 どこか必死な顔。もしかしたら、誠は前世に未練があるのかもしれない。

 だから私は、言えることは伝えた。聞いている時の誠は真剣で、話終わった時には無言になってしまった。


 「ボクはゲームのことと、それに関する少しのことしか思い出せなかった。思い出したいことはあるのに、思い出せないのって、こんなに辛いことなんだね」


 それだけ言ってまた話さなくなる。

私は前世で何もなく、ただ生活していただけだった。だから未練もないし、戻って何かしたいわけでもない。でも誠は違う。心の奥で、何かが残っているのだろう。


 「話してくれてありがとう、センパイ!」


 その笑顔にもう陰りはない。だけど、私にはそれがすごく心配だった。

 そこで私はゲームのことと、私がどうしたいかを伝えた。誠は本当にゲームのことは覚えているらしく、私の知らないことを教えてくれたりもした。


 「じゃあ今日からボクがセンパイを守るよ!ボクも峰川のことは前世からそんな好きじゃなかったしね。転生者同士、協力して頑張ろう!」


 そう言って立ち上がった誠はすごく無邪気で、楽しそうだった。

 最初は裏がありそうだと思ったけれど、そんなことはないかもしれない。


 「手始めに何する?ボク的には精神攻撃が一番だと思うな!」


 「いや、流石にそれはいいよ」


 「そっかぁ〜。残念!」


 うん。ゲーム設定の腹黒は残っているらしい。

 誠の前世のことは心配ではあるけど、私が深く関わっていいことではないだろう。

 前世の私達に未来は無い。ここで線を引いて、未練が無くなったら、誠の方から何を考えていたのか、思い出したかったのか話してくれるかもしれない。それまで私は、同じ転生者として、先輩として彼を支えて、協力していけばいいだけだ。


 「じゃあお話終わり!帰ろ!」


 そう言って私の手を引いて立たせてくれる。彼の手は私よりも大きくて、暖かかった。

ごめんよ……。本当にごめんよ……。キリが悪くなったんだ……。

次は最後の1人出てきますよ!


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