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今回は少し長いかもです。
四時間目の時、グループでの話し合いがあった。同じグループの中に、ゲームの中で情報屋兼友達の、真壁彩まかべあやがいたことに私は運命を感じた。今こそ友達になる時!
「桜宮さんとは初めましてだね!私は真壁彩、彩って呼んでね〜」
「桜宮花愛です!私のことは好きに呼んでいいよ!」
「了解!じゃあ花ちゃんでいいかな?」
「うん!」
彩はふわふわの黒髪を腰あたりまで伸ばしていて、身長は私より少し高いくらい。たれ目に猫口で、まったりした猫を連想させる可愛い女子。
その時間の話し合いは順調に進んで、私は彩以外の2人とも話せるようになった。
これで最初の計画であった友達づくりは成功したはず。
ご飯を食べ終わった後、是澤は本当に教室に来た。二人で屋上へ続く踊り場に行く。
話は唐突に始まった。
「よし、単刀直入に言おう。君はどんな勉強法をしている?」
ん?何の話ですか?
「えっとー……、どんなって言われても……」
是澤が眼鏡を上げた。ゲームでは立ち絵だったから動くことのなかった是澤だけど、本当にかっこいい。眼鏡を上げる姿さえ引き付けられる。
「君は確か女子で唯一のテストの総合点数が上から十番以内だろう。そんな君の勉強法をしれば、僕のためになると思った。だから直接聞くことにした。これで分かるか?」
勉強を頑張ることもそんなにいいことではなかったわけですね。
この高校では、試験の総合点数が上から十位までの人が廊下に張り出される。今のところ私は全てのテストで張り出されているから、是澤が名前を知っているのなんて当然だ。
「でも、是澤……君?」
「別に是澤でいい」
「あ、ありがとう。えっと、是澤は私よりも点数上だよね?私の勉強法なんか知らなくてもいいんじゃないかな?」
是澤はほとんどのテストで満点近くを採っている。そんな人に、私の勉強法が役に立つとは思えなかった。
是澤は私の言葉を聞くと、少し下を向いてしまった。いつも背筋を伸ばしているから、こんな姿は珍しい。
「最近、テストの点が上がらなくってしまった」
突然言われたことに驚く。点数が上がらなくなった?そりゃあんだけの点数を採っていれば、残るは満点だけになるだろう。
「そこで、誰かの勉強法を試せば、上がるのではないかと思った」
「でも、何で私……?」
是澤は顔を上げて、私としっかり目を合わせる。はっきり言って私は目を逸らしたい。イケメン過ぎて目に悪い。だけど、こんな真剣な相手にそれは失礼になるだろう。
「この学校はなかなかにレベルが高い。そして女子の人数は男子と比べ少しでも少ない。そんな中常に上位にいる君なら、何かためになることを知っていると思ったんだ」
そう、この白鷺高校は中の上の高校。そして理系が強いため、男子の方が人数が多い。もちろん男子は理系が多く、頭も良い。そんな中で女子で上位にいる私は、少なからず浮いていたのかもしれない。
「教えてくれないか?」
ここまで真剣に言われたら、私に断る理由なんてない。
「教えるのは別に構わないよ。でも、やってることは別に普通だと思う」
「本人には普通分からないことだろう。手始めに、君のノートを見せてくれないか?」
少し是澤のテンションが上がった。声が少し高くなって、早口になってる。そんなに勉強が好きなのだろうか。
「了解。教科は何でもいい?」
「あぁ。……いや、理数系だと嬉しい」
「分かった。じゃあ今から取りに行こうか」
そして二人で私の教室に向かう。その間、当たり障りのない会話が続く。一年の時のテストの話とか、先生の話とか。その話は楽しくて、教室に着くのはあっという間だった。
「今日ある教科でこの後にないのは……物理か。物理で構わない?」
「あぁ。理数系であれば何でもいいからな」
「じゃあはい、物理。返すのは明日でいいよ。明日物理無いから、遅れてもどうにかなる」
「いや、明日返そう。本当にありがとう、花愛」
笑顔とともに呼ばれた名前。
私の体温は急速に上がった。恥ずかしくて、下を向いてしまう。だけど嬉しくて、口はだらしなく緩む。
「どうした?」
心配そうな声。ゲームでは分からなかったけれど、是澤は意外と表情があって、声にも出やすい。そして天然入ってる。
「だ、大丈夫!じゃあまた明日!!」
「あぁ、また明日」
是澤は隣の教室に戻って行った。
私も自分の席に戻る。
「桜宮さん」
熱が冷めず机に頬をくっつけ冷やしていた私に、誰かの影が重なる。もしかして……。
「オレの話、忘れたの?」
金剛だった。
まだ出せてないキャラがいるよ!早く出してあげたい。不甲斐ない作者ですみません。そして次で出すことはできません。本当にごめんよ……。
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