8話.少女シルフィ
8話です
「それにしてもあの子達 新人にしてはやるじゃない」
「さすが……若き新星……」
「へへっ、やったね兄さん」
「そんな事 言ってる場合じゃねーだろ」
皆が感心の言葉を口にする。
その原因はさっき倒した蛇のデヴィルらだ。
結果から言うと俺とコロネ2人だけでたくさんいた蛇のデヴィルを倒してしまった。
その評判が良かったらしく、さっきから他の班はその話ばかりだった。
*
「そろそろ着く……」
ゼーダが落ち着かない様子で呟いた。
「そうだわ……ねぇ、サザナミ」
不意に、ミホラがサザナミを呼んだ。
*
「前方の敵はだいたい殺っといたよ!」
ミホラから前方のデヴィルを粗方倒すよう指示を受けたサザナミが木から飛び降り、大声で言う。
「突き当たりに……村の跡があった、よ」
俯きながらサザナミは報告を続けた。
「……そう。ご苦労様」
辺りの空気が暗くなるのを誰もが感じていた。
*
それからやっとのことでその村に着いた。
ゼーダは着いた途端に村の中心に駆け寄る。
「……ぉぃ……誰か……いねぇのか……?」
小さな、聞き取るのも困難な声で、ゼーダは問いかける。
「おい! 返事しろよ……!」
ゼーダがいくら呼びかけてもその声は虚しく響くだけだった。
「本当に……奴らに……デヴィルに殺られちまったのか……?」
ゼーダの瞳から涙がボロボロ零れ落ちる。
それを見てセレカは悔しそうに唇を噛み締める。
セレカだけではない。
皆それぞれ悲しさ、悔しさを表す。
「こんなに凄惨ならすごく強いデヴィルがいるのかと思ったけど……どうやら逃げたのかしらね?」
「……班長、不謹慎です」
「……ごめんあそばせ」
すると、突然、草むらからガサッと怪しい音がした。
「誰かいるのか⁈」
俺は警戒心の籠った声で問う。
「……え?」
その瞬間、茂みから綺麗な赤毛を三つ編みにした幼い少女が出てきた。
「……生き残り?」
皆が驚きを隠せない中、セレカが冷静に尋ねた。
「え? あの……」
「ゼーダ、見覚えはあるか?」
セレカに続き、エゼルがゼーダに問う。
「いや……俺が前、帰った時にはいなかったな。新入りか?」
「…………はい」
少女はかなりの間を空け、返事をした。
「よかった……まだいた……」
ゼーダは安堵のため息をもらす。
「名前は?」
「……シルフィ」
俺が、いまだ警戒心を緩めることなく少女に問う。
「そうか。よろしくな、シルフィ」
「……うん」
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