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見上げた空の色は

作者: 更夜

最近更新してないのと、なんやかんやあって結構前に書いた小説を掘り起こしてきました。

かーなーり、短いお話ですが閲覧していただければ幸いです。

後、前に書いた話なので今以上に文章が拙いですがご了承ください。


僕が小学――三年生くらいのときだったか。

そのくらいの歳のときに題名はもう忘れてしまったが、内容だけはよく覚えているお気に入りの小説があった。

特に覚えているのはその小説で一番僕の頭に残った台詞。

確か………卒業式のシーンで今年で転任してしまう、生徒達に大人気だった校長の台詞で、彼いわく



「その時の気持ちで見た空の色が変わる。例えばお母さんに怒られた後なら濁って見えるだろうし、いいことがあったときにはもしかしたら桃色がかってみえるかもしれないね」



だ、そうだ。


この小説の話の内容は、教室に置いてある本でよくありがちなもの。

イジメの話を持ち出して、幼い内に子供の道徳心を鍛えるというやつだ。


この小説は主人公がいじめられていたわけじゃないけれど、彼にも心に大きな問題を抱えていて、その主人公はとても控えめで引きこもりがちな少年だった。

その少年の目線で物語は語られ、物語の中で少年が少しずつ成長して自身の問題を乗り越え、クラス内のイジメ問題も解決に導こうとする。

そんな話だった。


今の僕とは違って小学生の頃の僕は、主人公や登場人物達の台詞や行動に一々共感しては校長の台詞を信じて毎日毎日飽きもせず空を見上げていた。


今日は楽しかったから、空も綺麗な色をしてる――なんて思いながら。



















あれから十年。

昔ほど純粋で素直じゃなくなった僕は、もう空を見ても何も思わなくなった。

自身の気分が良かろうと悪かろうと空の色は変わらない。

天気が悪ければ、暗い色。

逆に快晴なら濃い青色で、雲の割合が多ければ白色。

後は……夕方になれば橙色になることぐらいだろうか。

これらは全て自然現象であり、空の色は人々の心理では変わらない。


だがそれを分かっていてもなお、僕は小学生の時から毎日毎日なんとなしに空を見上げてしまう。

小学生の頃に見た、あの綺麗な空がもう一度見えるんじゃないかって淡い期待をこめながら。




今日成人式を迎えた僕が見た空は、いつもと変わらない筈なのに不思議と僕の目には少しだけ普段よりも澄んで見えた気がした。


馬鹿馬鹿しい。

そう思いながらも僕の口は緩んだ。








そして、もう一度僕は空を見上げる。

明日も、明後日も……おそらくずっと。


これからも僕は空を見続けるのだろう。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 読んでいて気持ちが良かったです [気になる点] 誤字がありました [一言] 考えさせられる作品でした
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