8話 無人機による襲撃者の殲滅
草原は、硝煙の臭いに包まれる。およそ700人近くの兵士たちが、村に向かってAK47を乱射している。無論最初は1000人いたが、村の男たちの作戦により、先頭にいた人間は地雷を踏んで250人ほど死んだ。あとの40から50人ほどの兵士は、浩二とエピによる奇襲作戦によるものだ。
「思ったより、弱いな」
「そりゃスキルのおかげだ。おそらく序列は100番以内だな」
「序列?何だそれ」
「右から来るぞッ!」
エピは浩二を蹴飛ばすと、右からの銃撃を避けた。草の上にうつ伏せ状態で倒れた浩二は、そのまま足に力を入れて、低い姿勢のまま銃を乱射している兵士の胴を切り裂く。
バスッ!という音と共に分断された兵士は、腸を撒き散らしながら、悲鳴を上げる間もなく絶命する。
「それにしても……こっからどうするんだ?」
浩二は紅剣を振りながらそう言った。
「とりあえず、あの山の中にいる大将の首でも落とせば終わるだろう」
「そうだな。それじゃ…」
「殺りますか」
2人はそう言い、山の方へと駆けていこうとする。だが、遠くから聞こえてくる、機械音のようなものを聞き取った浩二は、その場で伏せた。
「エピ、何かが来る」
「そうみたいだな……ん?」
エピは無線機を取り出した。すると、タイミング良く誰かが割り込んできた。
『村にいる全員に警告する。只今より、我が解放軍のUAVによる無差別攻撃に入る。至急その場から西側へと避難せよ。繰り返す―――』
その無線の意味を、浩二はすぐに理解した。
夜空に紛れて見えたのは、1機の戦闘機のようなものだった。両翼の部分に円形のプロペラのようなものがあり、その前面には、機関銃やミサイルのようなものまで積んでいる。
「あれって…まさか、ジェノサイドドラゴンじゃないのか?」
エピは血相を変えてそう言った。
「何だそれ」
「何だそれじゃない!時間がないから簡潔に説明する。あれは無差別型の殺戮UAVだ。あれに搭載されてるレーダーに映ったら最後、M0機関砲に、ドラゴンブレス空対地ミサイルで跡形もなく消し去られる。とにかくここから逃げないと危険だ!今すぐあの山まで走るぞ!」
浩二とエピは、一目散に走り出した。
◆◇◆◇◆
草原で銃を乱射していた700人近くの兵士たちは、空を見上げて呆然とした。
通称ジェノサイドドラゴン。無差別攻撃を繰り出す無人戦闘機の名は、この国にいる人間なら誰でも知っている。しかし、解放軍が持っているという情報は誰も知らない。少なくともこうして実戦投入されるのは、これが初めてだ。
1人の兵士が、銃を投げ捨てて山の方へと駆けていく。それを見た周りの兵士も、同じように悲鳴を上げながら走り去ろうとする。
だが、空に浮かぶ龍は、それらを容赦なく嬲り殺していく。
◆◇◆◇◆
ガガガガガガガガガガガッ!!
もはや生きている心地がしないほどの音が、辺り一帯に響き渡った。あのUAVが放っているのは、M0機関砲と呼ばれる、こちらの世界で開発された特殊な機関銃だそうだ。
エピが言うには、地上の敵の掃射のために開発された無差別兵器で、一度に50口径のライフル弾を3発まとめて撃っているらしい。当然凄まじい威力なのだが、弾薬の積載量などの問題や、反動による銃身などの強度などの問題が出てくるが、そこは全く問題ないらしい。
「とにかく、今は逃げるしかない」
エピはそう言うと、草原を突っ走っていく。途中、何度か敵に遭遇するが、全員戦意を失っているらしく、銃を向ける前に逃げていく。
浩二は警戒しながら、前に進んでいく。
その時、何故か無人機と目があった気がした。浩二の額を、一筋の冷や汗が流れていく。
エピが叫んだのは、ほぼ同時だった。
「危ないッ!」
そして、UAVに搭載されている無差別兵器、M0機関砲が火を噴いた。
狙いは、浩二……ではなく、その前方で倒れている少女だった。




