57話 エピローグ
あまりにも呆気なく、国王は死んだ。
浩二はあの後、激しい虚無感に襲われたあまり、塔の地下にある火薬庫に火を放って塔自体を破壊した。
そして2日経った今は、クラウスト内で一番高い高層マンションの屋上に身を潜めていた。
食糧は3日分だけ調達した。武器弾薬は無いが、紅剣とエピ・ソードがあれば問題なかった。
いつまでもぐずぐずしてはいられない、そう思った浩二だったが、ここから離れても何をすればいいのかが分からなかった。
考えれば、芽衣は死んだし、雷希は解放軍に所属している。輝に関してはミラという名前で軍を率いている。
頼れる人間は、もうどこにもいない。
暗殺者というのは、こういう運命なのかもしれない。
不意に、屋上へと繋がる階段の扉が開いた。
はっとした。気配すら感じなかったのは、浩二が気を抜いていたからだろう。
扉の場所には、1人の女性が立っていた。
少し赤みがかった髪は腰まであり、顔が驚くほど芽衣に似ていた。だが背は高く、浩二とあまり変わらない。
「吉樹浩二、で合ってるよね」
腰のホルスターから、瞬時にハンドガンが抜かれた。浩二もそれに合わせてガバメントを抜いたが、すぐに勝てないと悟った。
「……付いてきなさい、あなたに用があるの」
微笑んだその女は、銃を仕舞うと、階段を駆け下りていく。
浩二は少し何かを考えた後、銃を仕舞ってその後を追いかけた。




