56話 全てが終わった瞬間
あの瞬間、浩二は死を覚悟していた。
狙ったのは属性の塊による相討ち。着弾と同時に爆発する性質を持った属性の塊は、それぞれの特性を発揮する。火属性なら爆散した瞬間に周囲を熱で融かし、水属性なら爆散した瞬間に水がどんな物よりも鋭い刃となって飛散する。緑属性は爆散した瞬間触れたものを植物化させ、風属性なら爆散した瞬間秒間300メートル近い風を巻き起こす。光属性は爆散した瞬間に全てを光で包みこみ、闇属性なら爆散した瞬間全てが闇に包まれる。そして、浩二の幻属性は、爆散した瞬間飛ぶ針が突き刺さった場所が分解されて幻となる。
浩二はこの技を無意識のうちに発動していた。普通の属性の弾を撃ち出すことすら、何年か修行しなければ成しえない技なのに、この世界に来てまだ2ヶ月ほどしか経っていない浩二は、不可能なはずのそれをいとも容易く発動した。
◆◇◆◇◆
謁見の間の床に大穴が穿たれた。下には幻想的な庭があった。そしてその中央部分、色とりどりの花が植えられた大きな花壇の中央に、国王であるローは倒れていた。
「……終わりだ」
近くに置いてあったロープで飛び降りてきた浩二は、腰にあるガバメントを抜いてそう答えた。
まだかろうじで息をしていたローだったが、もうすぐ死ぬだろう。
「最期に、言い残したいことはあるか」
「……お前は、神によって裁かれるだろう」
瞬間、全てが終わった。
バスッ!という音がして、花壇の上で紅い華が咲いた。
「Good night」




