55話 七大将軍
わずか3分程度の戦闘だった。50人はいた親衛隊は、ものの見事に肉片と化した。
「……さて、覚悟してもらおうか」
血に塗れた浩二は、不敵な笑みを浮かべた。だが、我を忘れたわけではない。むしろ頭の中は冷え切っていた。
「まさか、国軍の中でも最凶と言われていた親衛隊を蹴散らすとは。流石だ。これは私も本気を出して戦わなければ」
ローは立ち上がると、横に立て掛けられるようにして飾られていた大きな矛を取った。全長は2メートル以上あり、とても人が振り回せるような大きさではなかった。
「さぁ、始めようか」
決闘場と化した謁見の間は、2人の尋常ではない殺気が入り混じり、爆薬のようにただ爆発するのを待っていた。
◆◇◆◇◆
そして、殺気は爆発し、同時に2人は刃を交えていた。
浩二の冷え切った頭の中では、解放軍で暗殺任務を請け負った時のミーティングの時に聞いた、特殊な能力のことがしっかりとあった。故に浩二は、紅剣を隠し、エピ・ソードだけで戦っている。だが、エピ・ソードの強度や切れ味は通常のロングソードというレベルを逸脱している。
バキィィン!という強烈な衝撃音。ローの放った一撃は、浩二の予想を超えた力が秘められていた。
全力で受けたが、少し吹っ飛ばされた。
「何?」
一方のローは驚きを隠せない様子だった。
「……流石は元七大将軍、だな」
笑いながら答えた浩二だったが、衝撃を殺した腕がビリビリと痺れる。
「レイン・フィアーを殺した男は、一撃では屠れないか……なら、あれを使うしかない」
ゴッ!という音と共に、その空間内に暴風が発生する。
その場で踏みとどまりながら、浩二はローに接近する為に跳ぼうとするが、金縛りにあったかのように体が言うことを聞かない。
「終わりにしようか、この距離ならば、属性による攻撃しか届かないぞ」
さぁ、どうする。そう言わんばかりに、笑みを浮かべるローを見た浩二は、何を思ったのか、紅剣を実体化させた。そして、そこから湧き出る無数の属性の《塊》が、ローに向かって飛んで行く。
「フハハハッ!血迷ったか、暗殺者よ!」
暴風が止み、浩二はその場で跪く。そして、ローの方へ飛んでいった属性の塊は、触れる直前で跳ね返り、浩二の方へと飛んでいく。
だが、浩二は嗤っていた。




