54話 絶体絶命
近くの階段から一気に駆け上がった浩二は、敵の姿がないことに驚いていた。
気配すら感じられないので、おそらく配置されていないのだろう。
「待ち伏せされているのか?」
考えたが、その可能性はかなり高い。
あの時、親衛隊と名乗った兵士たちが自分の名前を呼んだ時点で、暗殺しにクラウストへ潜入したのもばれていたことになる。そして、この塔の内部は、既に迎撃態勢に入っているのかもしれない。
だが、そんなことはどうでもいい。
考えることが面倒になったというのもあるが、とにかくあと階段を少し上がればあの大きな扉まで行ける。
ダン!という音を立てて、階段を登り切った瞬間に踏み込み、一気に扉の前まで跳ぶように走る。
そして、浩二は、エピ・ソードと紅剣を抜いた状態で、扉を思いっきり蹴った。
◆◇◆◇◆
「ようこそ、我が謁見の間へ。私は国王のローだ。吉樹浩二、君がここに来たことに関しては、褒め称えよう。この部屋に来たスキル持ちの人間は、ある1人を除いて君が初めてだ。だが、残念ながらここで君は死ぬ。先ほどの処刑宣告は、君の耳にも届いているはずだが」
30メートルほど先、一番奥にいた一際大きな男が、国王のようだ。
そしてその前には、50人以上の兵士が、槍を持った状態で仁王立ちしている。
「笑わせるな。ここで死ぬ?それはお前の方だ」
「君が正面から堂々と入ってきたから、相当の自信があるようだな。よかろう、ならここで死ね。こいつらを殲滅出来れば、私が相手をしよう」
その瞬間、謁見の間に途轍もない殺気が膨張、破裂した。
浩二は大きく息を吐くと、真上に跳躍した。




