52話 魔物の巣窟
現在の時刻は午後1時半、浩二は近くにあったマンホールから地下へと入り込んだ。
武装はエピ・ソードとガバメント。紅剣は隠してある。それ以外には背中にサバイバルナイフと足首に小型の投げナイフを隠し持っているが、おそらく使うことはあまりないだろう。
ここは下水道らしいが、使われている形跡はあまりない。おまけに、妙に道が整備してある。
「まさか、ここが秘密の地下道なのか?」
考えた末、浩二はそうだと確信した。少し荒れた感じは、おそらく偽装工作の為だろう。
妙な高揚感が、浩二の心中にはあった。だが同時に、遠くから得体の知れない異様な殺気を感じた。
(罠か……?)
念のため紅剣を実体化させ、ついでにエピ・ソードも抜くと、慎重に前へと進み始めた。
◆◇◆◇◆
黒い物体が蠢く。紅く煌めく点は、おそらく眼だろう。
四足歩行の、まるで豹のようなシルエットの正体は魔物だった。全身が黒く、口からはどす黒い瘴気のようなものが漂っている。
それが計7体。様子を窺っているところを見ると、ここに住み着いていたようだ。
「悪いが、そこを通してもらえないか」
そうは言ってみるものの、当然魔物に言葉が理解できるわけがなく、既に攻撃態勢に入っている。
仕方ないとばかりに、浩二は大きく左に跳んだ。
まず手前にいた1体の胴体を紅剣で分断、その間に横から飛びかかってきたもう1体の魔物の顔面をエピ・ソードで縦に分断すると、前に一歩出てからさらに前へ跳躍。3メートルほど跳んで着地すると、4体の魔物が囲むような状態となった。そこで紅剣とエピ・ソードを横に持って右足を軸に一回転すると、見事に魔物の首から上が分断され、音を立てて地面に落ちた。そして最後の1体を捉えた浩二は、紅剣を袈裟斬りの要領で下から斜め上に一気に振り上げると、最後の魔物の首から上が吹き飛んだ。
◆◇◆◇◆
もうどれぐらい進んだのだろうか。
食糧は一応補給しておいたが、先ほど食べてしまった。飲み水は既に底を尽きているが、あと3時間は行動可能だ。
気付けばかなりの魔物を屠っていた。途中からは数えることが億劫になり、無心で紅剣とエピ・ソードを振り回していた。だが、魔物の血は一滴も付着していない。一応そこには細心の注意を払っているつもりだ。
ふと、通路の先から明かりが漏れているのが確認できた。暗闇に目が慣れていた為、ほんの少しの明かりでも眩しく見えた。
◆◇◆◇◆
しばらく様子を窺ってから外に出ると、そこは倉庫のような場所だった。ずらりと並ぶ棚の中には、黒い粉が入った瓶などが所狭しと並べられている。
「ここは、火薬庫なのか……ん?」
人の気配がする。浩二は紅剣を隠してエピ・ソードを収めると、ガバメントを抜いて身構えた。




