50話 葬儀
芽衣が死んでから、およそ2日が経過した。
解放軍から追われる身となった浩二だったが、葬儀だけは出席が許された。
葬儀は中心都市クラウストから西におよそ40キロ離れた場所にある大きめの村で行われた。花畑が広がる村の中央にある大きな建物には、解放軍に所属する者たちが神崩を持って集まっていた。そこには、クラウストに潜入した他の7人の姿もあった。
だが、特に何も話すことは無く、葬儀は始まった。
◆◇◆◇◆
葬儀が終わった頃には、既に日が傾き始めていた。
村をすぐに出た浩二は、すぐ近くにあった丘を登った。
「吉樹浩二だな」
後ろから声をかけられた浩二は、その場で立ち止まった。
「どこに行くつもりだ」
「軸座、お前にこれを教えたところで、殺しに来るつもりだろう」
「……あぁ、そうだ。解放軍は桜木芽衣を殺した犯人としてお前を殺すそうだ」
「ふざけるな!俺が殺しただと?」
「それだけじゃない。クラウスト侵攻を企てたテロリストとして、さらにレイン・フィアーを呼んだとして、お前は今国軍からも追われている。おそらく解放軍は国軍と一時的に協定を組んでお前を殺しに行くだろう」
結局は殺されるということらしい。
「もう勝手にしろ」
「分かった。今から3日だ。そうしたら俺たちもお前と敵対することとなる。車と武器に食糧はくれてやる。それで逃げて潜伏でもしろ」
「必要ない。食糧と武器だけで十分だ」
◆◇◆◇◆
とりあえずその村で一泊することにした浩二は、夜になり、全員が寝静まったのを確認し、建物を抜けだした。
守衛が4人、この建物を囲むように配置されていた。
「おい貴様、どこへ」
バシュ!という音と共に、その守衛は肉片と化した。
◆◇◆◇◆
浩二は、クラウストを目指した。
一応食糧は一食分だけ持ち出した。武器は持ってこなかったが、ガバメント用のロングバレルとそれに装着できるサプレッサー、それに消音弾が入ったマガジンを5つほど持ってきた。
やることは決まっていた。
―――あの国王を殺す。
芽衣の仇でもあり、浩二を嵌めた人間でもある。それに、今後もし軸座の言った通り解放軍と手を組めば、逃げるにしても非常に面倒だ。そのためにも、国王は是非消しておく必要があった。
暗闇が広がる平原を、跳ぶようにして走り去っていった浩二の姿は、紛れもない《暗殺者》そのものだった。




