49話 死体回収
毎分6000発という速度で弾を撃ち出すM134ミニガンの反動は、実に2トンを超えるそうだ。それが両手にそれぞれ1つずつ。芽衣には合計で4トン以上の反動が襲いかかることになる。
だが、闇属性の触手のようなものを金属棒が貫いた傷口に纏わせて悠々と歩くその姿は、もはや人ではない。だからなのか、この状況で何故か納得がいった。
ガガガガガガガガガガガガッ!!
双方から、合計で毎秒約200発の弾丸が吐き出される。しかも照準は正確で、反撃しようとしていた国軍兵士たちの隊列を、まるでドミノを倒すかのような気軽さで吹き飛ばしていく。
血と肉片が砂で和えられた地面の上には、ベルト式の弾薬がずらりと並んでいた。それが高速で給弾口に吸い取られ、薬莢が音を立てて吐き出される。
そこは正に、地獄と化していた。
◆◇◆◇◆
その場で立ち尽くしていた浩二は、後方からの鋭く尖ったような殺気に気がついた。芽衣も気付いていたのか、激しい銃声が消え、浩二の後ろを見透かすように芽衣の視線が浩二を射抜く。
浩二はその時、反射的に紅剣を抜いて飛んできた槍を弾き返した。
「誰だ」
浩二は芽衣を庇うように、紅剣を構えながら前方のビルの屋上にいる2つの影に問いかけた。
すると、2人はビルから飛び降りたかと思えば、一気に跳躍して校庭内に入ってきた。どちらも銃を持っており、手前にいるスキンヘッドの男はサブマシンガン、後ろにいる女はハンドガンと背中にスナイパーライフルを背負っている。
「あんたが、吉樹浩二か。こうして話すのは初めてだな」
スキンヘッドの男が持っていたのは、サプレッサーを装着したMP7A1だった。浩二は油断なくエピ・ソードを抜き、構えなおした。
「まぁ、そんな身構えるな。俺は工藤斬魔だ。神々の刺客のうちの一人だが、今日は挨拶も兼ねてここに来た。一応解放軍所属だ」
近くに刺さっていた槍を持つと、槍は青白い光を放って消えた。
「本題に入る。俺たちは、桜木芽衣の死体を回収しに来た」
後ろでバタリと言う音がした。はっとして後ろを向くと、芽衣が倒れていた。目は見開かれ、瞳孔に光は無かった。
「吉樹浩二、この戦いは終わった。こいつの葬儀は解放軍が行うが、お前も出席しておけ。それが終わったらすぐに逃げろ。今度は敵同士になる。分かったな」
急に体から力が抜けていくのを感じた。その場に座り込んだ浩二は、ただ空を見上げていた。




