47話 惨劇の始まり
「動くな!武装を解除して両手を挙げろ!」
そんな声が聞こえた。気付けば包囲されていた。
前も同じような感じで囲まれたことがあったが、今回は700人以上の兵士が銃を構えてじりじりと包囲を狭めていく。
この状況では勝ち目は無いに等しい。さらに前の戦闘での疲れがどっと出たのか、はたまたスキルが切れたのか。とにかく謎の気だるさに襲われ、反撃することを諦めていた。
紅剣とエピ・ソードを背中にある鞘に収めると、浩二は両手を上げた。
◆◇◆◇◆
「よし、そのまま動くなよ」
5人の兵士が、浩二に銃を突き付けた。
M4カービンの銃口からは、硝煙の臭いがする。おそらく先ほど撃った奴らなのだろう。
「こっちの死体はどうします?」
別の兵士が、芽衣の死体に触ろうとしている。浩二は思わず大声を上げた。
「触るな!」
叫んだ瞬間、後頭部に衝撃が走った。銃底で殴られたようだ。
「黙ってろ侵入者が。おい、その死体はここでバラして後で焼却だ」
「……触ったら殺す!」
既に浩二の怒りが頂点に達していた。だが、動けない。いつも通りの体に戻ってしまったようだ。属性による攻撃すらできる状態ではない。
芽衣の死体も、荒らされて棄てられるのだろう。そう考えると、今の自分が本当に情けなく感じ、自分自身にも怒りを覚える。
だが、その時だった。
―――浩二、ありがとう
ふとそんな声が、耳に入ったように感じた。浩二ははっとして、芽衣の死体を撃とうとしている兵士を見た。
その瞬間、この後起こる惨劇は始まった。




