36話 芽衣と浩二の誓い
あの後は、かなり盛り上がったような気がする。
緊張感というものは皆無で、騒ぎはしなかったが、それなりに色々な話が出来て楽しかった。
夕食後は最終的な作戦会議をし、役割分担の確認やフォーメーション、潜入口や脱出口の確認をした。
そして武器の整備や装備品の整理などをしているうちに、いつの間にか全員寝てしまった。
現在の時刻は午前2時。浩二は3時間ほど寝たが、かなりすっきりしている。
建物の外へ出ようとすると、後ろから微かな足音が聞こえた。
「どこ行くの?」
「……芽衣か。ちょっと散歩だ」
「そう。私も付いていっていい?」
「勝手にしろ」
素気なく返すと、扉を開け、外に出た。
星明かり以外に、明かりというものが存在しない。暗闇と静寂な世界が、そこには広がっていた。
しばらく歩いていくと、村を囲っている柵が見えてきた。そこの近くに腰を下ろすと、静かに付いてきた芽衣が、隣に座った。
「……今すぐ逃げて」
いきなりだった。芽衣は真剣な目で、浩二を見ていた。
「どうしたいきなり、怖気づいたのか?」
「違う。おそらく、今回の作戦は、浩二を嵌めようとしている。どこかしらで潜入がばれるように、仕組んでる可能性が高い」
「何故そう思う?」
「神々の刺客って、知ってる?」
いきなり話が飛んだ気がした。だがそれを気にすることなく、芽衣は話を続ける。
「麓城封鬼。あれは神々の刺客の1人に数えられていた。今のあいつらの攻撃対象は、吉樹浩二」
「……詳しく聞かせてくれ」
「詳しい話は、良く分からない。だけど、今回の作戦はおそらく神々の刺客が絡んでる」
「分かった。だけど安心しろ、俺は死なない」
「でも、スキルは……」
「大丈夫だ。ある程度は回復した」
浩二は、前にあった輝との戦闘時にスキルが使用出来ない状態まで追い込まれていた。
だが、軸座たち曰く、神崩を隠せるならおそらくいざとなればスキルが使えるようになる、とのことだった。
過信はしていないが、ある程度は自分でもそう思っていた。
「でも、もし何かあったら……」
浩二はそこで、芽衣の頭をぽんと叩いた。
「大丈夫だ。お前が強いのは知ってる。いざとなったら、助けてもらうかもしれない」
「……その時は、全力で守る。だから………」
死なないで。
その声は、静寂に呑み込まれていくように消えていった。
だが、浩二の心には届いていた。
「安心しろ。俺もお前は絶対に殺さない。もしどちらかが死ぬようなことになっても、俺が導いてやる」
―――2人とも助かる、ほんの僅かな可能性に。




