30話 突拍子な死刑宣告
早めに気付くべきだった。今思えば、どうしてそんな簡単な疑問が出てこなかったのだろう。
芽衣と何かを話そうとした時、部屋のドアが大きな音を立てて開いた。ここで浩二は初めて今自分がどこにいるのかという疑問が出てきたのだ。
そこに立っていたのは見知らぬ男だった。その後ろに、朱雀と月菜がいた。
「取り込み中悪いね。桜木少尉」
男は手を挙げながら薄気味悪く笑みを浮かべる。すると、月菜が朱雀の頭に拳銃を突き付けて近づいてきた。
「吉樹浩二、お前を死刑に処す」
◆◇◆◇◆
これが、数時間前の話だ。てっきりその場で殺されるのかと思い、男を素手で殺そうかと思ったが、体が動かない。どうやらスキルが切れているようだった。そして男は自分が斎藤晶魔という名前で、解放軍の副指令を務めていると自己紹介すると「お前は1日ほど熟成させる」などと言い、今に至るわけだ。
「……どうやって出るかな」
投獄されて初めて出た独り言がこれだった。
5メートル四方の部屋に、頑丈な檻があるだけのシンプルな牢獄だ。壁の隅の方にある四角く切り取られた場所はおそらくトイレで、それ以外には、小さな通気口があるだけだ。
通気口はぎりぎり人の通れない隙間で、まるで脱獄しようとする者を嘲笑うかのように空気を通している。
このまま明日の死を待つのか。それともこのまま何もないまま置き去りにされて死ぬのか。
浩二の頭に、死の恐怖が刻み込まれる。
同時に、過去の嫌な出来事が断片的にだが蘇ってくる。浩二は冷たいコンクリートの床に寝ころぶと、目を瞑った。




