24話 再会の先にある絶望と憎悪
佐藤輝。それは浩二の友人でもあり、また護身術などの先生でもあり、仕事に関してはかけがえのない仲間だった。
だが、この世界ではどういうわけか、敵に回ってしまったようだ。
何も理解できてない浩二だったが、直感的にそう悟った。
「……俺は、信用してたんだぞ」
浩二は肩を震わせてた。目の前で黒衣を纏い、青竜刀を構えている大男、輝を見て、今まで信頼していた仲間に裏切られたような感じがしていた。
「どうしてこうなった!ふざけんじゃねぇぞ―――」
「撃て」
輝の名前を叫ぼうとしたのを遮られ、AK47を構えた兵士たちは一斉に引き金を引いた。
銃声が嵐のように吹き荒れる。だが輝の口から言葉が発せられた瞬間には、浩二は1人の兵士を切り裂いていた。
右手の剣、紅剣からは凄まじい量の白銀の粒子が飛び散る。そして左手の剣からは、禍々しいほどまでに黒い煙のようなものが纏っていた。
そしてどちらかの刀身が人体に触れた瞬間、例外なく爆ぜる。後に残るのは、無数の肉片と深紅色の体液だけだった。
右回りで全ての敵を斃した浩二は、その勢いで輝に斬りかかろうとした。だが、その前に聞きたいことがあったため、目の前で足を止めた。
「どういうつもりだ」
輝は顔一つ変えずにその一言を放った。だが、その言葉には猛烈な殺気が込められており、常人なら腰を抜かすほどの恐ろしさだった。
「聞きたいことがある。お前が、ミラなのか?」
「そんなつまらない質問のために俺に攻撃を加えなかったのか。よっぽど自分の腕に自信があるみたいだな」
「あぁ、少なくともお前には負けないはずだ。序列が上だとか下だとかで見てるやつには、絶対にな」
「序列については知ってるようだな。だが、浩二は勉強不足だ」
「何がだ?」
「序列はすなわち、戦闘力を数値化して並べたものだ。それは、スキルの力だけじゃないってことだ。お前は自分の序列を、そして俺の序列を知ってあんな戯言を吐き出したのか」
「知るかよ」
「なら教えてやるよ。お前の序列は未知数だ。そして俺の序列は、2位だ」
「未知数……?」
「序列に縛られない。その発言が出来たのはこれのおかげだ。お前は序列というものが存在しない、未知の暗殺者なんだよ」
「面白いな。数値化できないってことか」
「そういうことだ。そしてここで俺の序列を教えておこう。部下に聞かれる心配もないしな」
輝は周りに散らばってる肉片を見渡してから、浩二に自らの序列を告げた。
「俺の序列は2位だ。だがお前と違うのは、元のステータスが違い過ぎるってことだ」
言い終えた瞬間、辺りに殺気が充満しているのに気付いた。輝の目線は、確実に浩二を捉えていた。
「そういやお前の最初の質問に答えてなかったな。俺はこの世界ではミラと名乗ってる。だが、違う。本当の俺は神々の刺客。無の属性を司る、神の力を得た人間だよ」
爆発音が目の前でした。浩二は咄嗟に後方へ退避すると、輝の斬撃をスエーバックで躱す。
そこからさらに後方へと下がった浩二は、輝と8メートルほどの距離を置いた。これが無意味なことは、双方とも理解していた。
「さて、吉樹浩二。お前とは一度戦わなきゃならなかった。神々の刺客の1人、麓城封鬼の仇を取らなきゃならないしな」
青竜刀の刀身が、深紅色の輝きを帯びる。
「見せてやるよ。お前がいかに無意味な存在だったかをな」
輝は口元に冷酷な笑みを浮かべる。瞬間、浩二の視界から大柄な男の姿が掻き消えた。




