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Assassin  作者: 兎鈴
3章 第五次ヴェルタイト南部紛争
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19話 第二都市

 村を出てから、およそ6時間は経過していた。まだ辺りは真っ暗で、星明かりだけを頼りにだだっ広い平原を歩き続けた。

 歩き始めてすぐに、月菜からいくつかの情報を得た。どうやらこの島には第二都市と中心都市というものが存在しているらしい。第二都市はいくつかあり、中心都市を囲うように存在するそうだ。

 今向かっているのはカルマという街で、第二都市の中でも一番南寄りで、かなり賑やかな商業都市だと言う。広さはそこまででもないが、武器商が多く、武器庫が街の至る場所にあるそうだ。


「……ん?」


 浩二は遠くに何か光るものを見つけ、その場でしゃがんだ。後ろに続く月菜もそれを見つけたらしく、静かにしゃがむ。


「盗賊よ。おそらくどっかの運び屋か何かが襲われたんだと思う」


 双眼鏡で覗いて確認した月菜はそう言っていた。浩二も見ようと、双眼鏡を取り出す。

 ……タァ―――ン!


「狙撃!」

「伏せろ!」


 ほぼ同時に2人はそう言い、伏せた。

 改めて双眼鏡を覗く。すると、盗賊と思われる1人の男が倒れていた。他の仲間と思われる奴らが銃を構えて警戒している。


「俺らじゃないみたいだな。ただ、あそこまで大体1キロくらいか。なら走って攻撃するくらいは出来るんじゃないのか?」

「そうね……歩くのも飽きたわ」

「よし、決まりだ」


 口元に笑みを浮かべた浩二は、背中の鞘から2本の剣を抜いた。


◆◇◆◇◆


『おい、南から新手だ。警戒しろ』


 SR25を構えていた女は、無線を聞いてその方向から現れた新手を確認した。

 およそ700メートル先から2人の男女が走ってくる。女は双眼鏡などを使わずに、その2人の顔を見た。


「浩二……?」


 女は動揺した。が、次の瞬間、近くで弾が跳ねた。

 すぐにスコープを覗くと、撃ってきた男の眉間を照準し、引き金を引いた。


◆◇◆◇◆


「浩二、前方の2人をまず片付けて。そしたら左の敵を片付けて」

「了解。そんじゃ、殺るぞ」


 浩二はダッシュしたまま、トラックを囲っている盗賊たちのうち、浩二から見て前の2人に向かって剣を振るった。白銀の尾を引きながら、2人は一瞬で爆ぜた。


「新手か!」


 盗賊たちは浩二の方へ向いた。だが、一番奥にいる男がどこかのスナイパーに撃たれて倒れた。その隙を突いて、浩二は月菜に言われた通りに左の方の敵に斬りかかった。

 数は3人。全員小銃を持っているが、真ん中の奴はロックを外していない。とりあえず手前の男を斬ると、一気に踏み込んで奥の男を斬る。そのまま油断していた真ん中の男を、振り向きざまに斬撃。

 その瞬間、右側が炎に包まれた。そして、右側にいた男たち4人が、一瞬で木端微塵となった。


「流石だ」


 剣を収めた浩二は、どこからか見られているような気がしたが、それがスナイパーのものだと分かると、考えるのをやめた。


「さて、頼みがあるんだが」


 盗賊たちに襲われ、蹲っていたトラックの運転手は、返り血を浴びて真っ赤に染まった浩二を唖然と見つめた。


◆◇◆◇◆


 トラックに2人が乗り込む。そしてそのトラックは、おそらくカルマへと向かうのだろう。SR25をケースの中に仕舞った女は、後ろに気配を感じ、腰の拳銃を抜いた。


「おっと。俺だ、撃つな」


 男は手を挙げると、女は何事もなかったかのように銃を仕舞った。


「そろそろ動くぞ。カルマの方で、ミラ軍が動いた」


 女の動きが止まる。


「とりあえず車を出す。お前たちの部隊はもうカルマの方に着いてるはずだ。あんたの狙撃がなきゃ、おそらく厄介なことになる。急ぐぞ」


 エンジン音が聞こえる。おそらくこの男の部下が送ってくれるのだろう。

 女は先ほど乱入し、敵を全滅させた2人の中で、剣を使った男の顔を見て確信した。あの男は、吉樹浩二だと。


「だけど、会うのはもう少し先」


 誰にも聞こえないような小さな声で、女は囁いた。

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