18話 出発
「何が起きたんだ……?」
浩二は夜空に浮かび上がるキノコ雲と、空を横切った閃光の尾を見て呟いた。あの閃光は一瞬で横切り、寸分違わず山頂にあったEMP爆弾を撃ち抜いた。
レーザー兵器かと思ったが、駆け寄ってきた月菜は違うと言った。
「あれはレーザーなんてもんじゃないわ。電磁加速砲、或いはレールガンって呼ばれてるやつよ」
「レールガンだと?」
嘘だろう。と言おうとしたその時、後方から大声で喚く声が聞こえた。
ソルだ。おそらくEMP爆弾によって電子機器がやられたのだろう。怒っているのか泣いているのかは分からないが、とにかく宥めに行くしかなさそうだ。
「よし、今からすぐに俺の家に集合だ」
浩二はそう言い残し、ソル達がいる場所まで小走りで移動した。
◆◇◆◇◆
30分後、なんとか落ち着きを取り戻したソルが浩二の仮住まいしている家へと入る頃には、テーブルの上に様々な料理が置いてあった。椅子は5つあり、そのうちの4つは埋まっていた。
「早くしろ。でなきゃ、話が出来ない」
苦笑しながらレイがそう言った。ソルは無言で頷くと、静かに空いている椅子へ座った。
「さて、食べながらでいいから、まずは話を聞いてくれ」
浩二はそう切り出すと、まず自分の今考えているプランに付いて話し始めた。
「さっき月菜とも少し話したんだが、あの光の正体はレールガンによるものだと言う。おそらく、解放軍の攻撃と断定してもいいだろう」
肉を一切れ、口の中に放り込む。そしてそれを水で流しこむように飲み込むと、説明を続けた。
「……で、俺たちはこの光、すなわちレールガンに付いて調べに行こうと思う。あんたたちは、きっとミラ軍と合流する。そうだろ?だから、今日の夜中に俺たちは徒歩でヴェルタイトの中心部へと向かうことにする。だからあんたたちとはここでお別れってことになる」
浩二はそれを言い終わると、ソルが手を止めた。
「条件がある。もしあんたたちが何らかのトラブルに巻き込まれた時に、俺たちを呼んでほしい」
メグとレイは、にやりと笑っていた。おそらく初めから話をしていたのだろう。
「分かった。それについては、遠慮なく呼ばせてもらうぞ」
浩二はそう言うと、席を立った。そして自室の方に戻っていく。
「……今から準備をする。月菜、1時間で準備を終わらせてくれ」
◆◇◆◇◆
1時間後、2人は村の入り口にいた。迷彩服を着て、腰のポーチにはそれぞれ食糧と水が入っている。神崩を背負い、浩二はさらにエピの持っていた剣も持っている。
「それじゃ、またいつか」
浩二はそれだけを言い残し、歩き始めた。月菜も一礼すると、浩二に付いていくように歩き始めた。