17話 天を翔る閃光
エピの死と麓城封鬼との死闘から1ヶ月が経った。レイの傷は完治し、浩二の傷もほぼ完治と言っていいほどまでになってきた。村にいた住人たちは出払ってしまい、今は浩二と月菜、そしてソルとレイとメグの3人が空いている家に仮住まいをしている。
「よし、これを運んでくれ」
村の入り口で、トラックの荷台から荷物を下ろすレイが叫んだ。するとソルと浩二が、メグのいる家まで運んで行く。
今日もその作業で終わってしまった。数日前から荷物を運んでは、何かを組み立てる作業を繰り返していたが、何をしているのか浩二には分からなかった。
日が沈み、いつも通りの自由時間が来るはずだった。入り口の広場でテーブルの準備をしていた浩二は、ふと北の方角を向いた。
◆◇◆◇◆
『第20特殊小隊、ご苦労だった』
「有難うございます。ミラ将軍」
『よし、今からシグが第二師団をそちらに向かわせる。お前たち3人はそこで待機だ』
「了解です」
無線を切り、安堵の溜息をついたソルは、外に出てメグやレイと合流しに行くことにした。
ドアを開け、外に出る。すると、メグとレイがすぐそこにいた。
「将軍と連絡はついたか?」
レイがそう切り出した。
「あぁ。このまま待機だ」
ソルが手短に報告すると、メグがつまらなそうな顔をする。
「退屈になりそうね……さて、ご飯にしましょうか」
3人は、浩二と月菜がいる村の入口の方へと向かった。
◆◇◆◇◆
「《四神の息吹・朱雀》、充電完了。装備に異常なし。半径5キロ以内からの避難は完了しました。……照準完了。いつでも発射できます」
『よし。撃て』
兵士は赤い発射ボタンを押した。
瞬間、外からの音や衝撃をシャットアウトする防壁を無視したかのような轟音と揺れが襲いかかってきた。
◆◇◆◇◆
ヴェルタイトの中心部から、南の方角へ向けて、閃光が走った。
そして、300キロ先にある、浩二たちが乗り越えてきた山脈の頂上に置いてあったEMP爆弾を、寸分違わず撃ち抜いた。
常軌を逸した爆音と閃光が、浩二たちを丸ごと呑み込む。次の瞬間、夜空を覆い尽くさんばかりのキノコ雲が出現した。