13話 暗殺者殺し
「始まったな、斬魔」
村から1キロほど離れた場所で、双眼鏡を覗く黒ずくめの女は少し笑いながらそう言った。斬魔と呼ばれた男は、持っていた2メートル弱ある槍を近くの岩に立て掛け、腰のポーチから双眼鏡を取り出す。
「……ほう。運がいいな。驚くなよ、もう1人のターゲットまで一緒にいやがった」
「笑えるな。ただ封鬼が狩れるほどの奴なのか?」
「まだこの世界に来て1日も経ってない。いくら強いって言っても初歩的なとこでミスって死ぬのがオチだな」
「つまんねぇな。私も狩りたかったのに」
「……安心しろ。もし死んだら俺たちが奴らを狩りに行く。卑怯かも知れないが、それが戦いだ。勝つためなら使えるものは何でも使っとかないとな」
「そうね。いつでも行けるから、行く時は合図送って」
そう言って、女は置いておいたボルトアクションライフル、M40A5を持って近くの木に登った。
◆◇◆◇◆
封鬼の戦闘力は、凄まじかった。
短剣が少しでも触れた途端、体が爆ぜ、肉片と化す。
「距離を取って撃て!」
ババババババババッ!
男たちは一斉に銃を撃つ。だが射線から逃れた封鬼は、的確に1人ずつ消していく。
「お主らは邪魔だ」
悲鳴を上げる間もなく、無慈悲に爆ぜていく。
封鬼の戦闘力に、最後の1人となった男は腰が抜けて動かなくなった。この男が、村の警備隊を率いる隊長だった。
だが封鬼はお構いなしに、首筋を切り裂いた。そこから風船のように、隊長の体は爆散して肉片と化した。
◆◇◆◇◆
浩二とエピは、隙を見て一旦物陰に隠れて様子を見ていた。
「スキルは暗殺者殺し。浩二みたいな暗殺者を殺すために、真逆の性質を持ってる」
「……待ってくれ。俺はそもそもスキル自体をよく知らない。暗殺者ってい言うのも」
「いいか。ここでゆっくり説明してる暇はない。だから大事なことだけ言っておくぞ。まず1つ、スキルはすぐに発動できる。この前頭の中に出てきたことを想像するだけでいい。そしてもう1つは、剣に属性を送ればああ言う風に強化できる」
「属性を送る時は、初めて属性を出した時のやつを想像すればいいんだな?」
「要領がいいな。お前なら、俺が死んでも勝てる」
「ちょっと待て。お前は、死ぬ気か?」
「あいつは序列28位。解放軍にある極秘部隊の副隊長様だ。ああいう奴を倒さなきゃ、俺は強くなれねぇ。それに、あいつの目的は俺の剣だ。そうなると、あの短剣の攻撃も防げるくらいの強さはこの剣にある。俺は、最強の剣士を目指してるんだ」
その言葉に、浩二は数秒ほど固まっていた。止めなきゃと思ったが、体が動かない。
「それじゃまた。死ぬなよ」
そう言って、エピは物陰から勢いよく飛び出して行った。




