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第三話~ギルドへ~

投稿遅くなりました。毎度の駄文ですがどうぞ気長に読んでください。

ちなみに初投稿から二十日、ユーニーク千人越えました。これも皆様のおかげです。ありがとうございます。

「あ~」

 初はベッドから起き上がり乱雑に自分の黒髪をかきむしった。

「どこだここ?」 

 頭はまだ覚醒しておらず自分がなぜこんな見たことも無い場所にいるのか分かっていなかった。ぼーっとする頭を働かせて昨日何があったかをは思い出そうとあぐらをかいた自分の太ももに肘を置き額に手を当てて考えた。


「・・・・・・。そうだ、異世界に来たんだっただな」

 思い出した途端頭がスーっと冴えていく様に感じた。

 初は朝は弱い方である。自分がどこにいるか分からなくなったことが証拠である。そんな初が、朝、こんなにも頭がスッキリしているのは滅多にない。余程気持ちに余裕が無いか、それとも自らの本能がありえない世界に来たことにより危険を知らせているのか、そのどちらかであるが初は後者であると思っている。

 初は元の世界でも大分肝が据わっていた。どんな相手にでも物怖じせず常に自分という存在を貫き通してきた。ただ、目上の人に対してもその態度だったこともありよく相手を怒らせていた。だが、今はそれが功をなしこの世界に来てからもかなりの順応性で対応してきている。気持ちの面で言えばパーファクトな方だろう。

 

 しかし、頭では理解していても本能と言うものはそう簡単な代物ではない。

 元の世界の初は高校生の中でもかなりのワル、言わば不良であった。喧嘩はほぼ毎日。酷い時は一対五十や六十(ちなみに初が一)なんてザラにあった。そんな初の戦闘本能いや野生本能とでも言った方がいいのか、その勘を初はかなり頼ってきた。その勘が今も働き、自分の世界とは違う別の世界に来たことにより危険信号を出していた。

「ひとまず、朝飯食いに行くか」

 ベッドの横にある窓から外を見ると街はもう明るく賑やかな声が聞こえていた。

 少し寝すぎたかなと思いながらもブラウン家のリビングへと初は歩いて行った。


「あ、ハジメさん、おはようございます。よく眠れましたか?」

 リビングへ行くとティアが朝ご飯をテーブルに運んでいるところだった。

「あぁ、おかげさまでぐっすり眠れたよ」

「なら、よかったです」

 ティアは輝くような笑顔で初に笑いかけた。

「ん・・・・・・。あぁ」

「?」

 そんなティアの顔から初は目を背けた。

 元の世界であまり女性付き合いがなかった初はこいうのには結構弱い。ましてティアは身長や胸はさほどないにしろ腰のあたりまで伸ばした綺麗な髪にまだ幼さの残る端正な顔立ちは美少女と言っても過言ではない。

 

 ただ、初の心知らないティアは首を傾げて不思議がっていた。

「あら、おはようございます。ハジメさん」

「あ、おはようございます」

「おう、おはよう小僧」

「・・・・・・うぜぇ」

「なんだとお前!」

 そんな中ノエルとブラウンが初の後ろから声をかけた。

 ノエルは手に洗われた洗濯物が入った籠を持っており先程まで洗濯をしていたのだろう。ブラウンはまだパジャマ姿であり寝起きなのがうかがえる。

「もう、ハジメさんもお父さんも喧嘩してないで早くご飯食べて」


 その言葉を言われた二人は渋々テーブルに着き食事を始めた。

 ティアとノエルも椅子に座り食べ始めた。

 四人は昨日のように談笑しながら食事を進めていき話は今日のことへと移り変わった。

「そうだ、ティア今日は小僧に街の中を案内してやってくれ。こいつも、街の中を歩けば何かしら思い出すかもしれねぇからな」

「うーん、そうだね。私もハジメさんには記憶を取り戻してもらいたいし。そうと決まったらハジメさん早くご飯を食べて行きましょう」

「あぁ、そうだな」


 初とティアはすぐに朝ご飯を食べ終わり身支度をすませた。

「それじゃあ行ってきます」

「行ってくる」

「気をつけて行ってきてくださいね~」

「お前ティアに何かしたらただじゃおかねぇからな」

「何もしねぇよ親馬鹿」

「な!俺は親馬鹿じゃない!俺はただ娘のことを思って―」

「行くかティアちゃん」

「あ、はい」

「おい!聞けよ」

 そんな声を当然無視したハジメはティアと一緒に街の方へと向かって歩いて行った。





「いい親父だな」

「え?」

 歩いてから数分、初がおもむろに呟いた。

「あんな風に娘を思える親はそうそういないからな。ただ、少しだけ親馬鹿だが」

「フフ、そうですね。ちょっと私に甘いところがありますけど、それでも自慢の父ですから」

「自慢の父か・・・・・・」

「はい」

 ティアは嬉しそうな顔で返事をした。 

 そんなティアにそうか、とだけ言って初は自分の過去を思い出した。





 その当時初は五歳だった。

 その日は雨の降る夏の日だった。夏の雨なんて冬の寒さに比べればどうってことはない。ただ、今日の雨は結構な大雨でそれはそれでキツイものがあった。

 初はいつも通り狭い路地裏でダンボールを傘代わりにして雨をしのいでいた。しかし、そんな物で雨を簡単に防ぐことはできない。

 雨は徐々にダンボールに浸透しとうとうその意味をなさなくなった。

 雨は初の頭を濡らし、肩を濡らし、胸を濡らし、背を濡らし、全身を濡らした。

「すぐに、止むだろう」

 もう使えなくなったダンボールを横に置き膝を抱えて体温を逃がさないようにしながら独り言のように呟いた。いや、現に誰もいないこの場で初の言葉は独り言だった。


 そして、朝になった。雨は上がっていない。

 体を震わせながら初は空を見上げた。

「夜には止むだろう」

 そう呟き膝を抱える手に力をいれた。


 そして、再び朝が来た。雨は止むことを知らない。

 初の意識は朦朧とし、視界は霞んでいる。

 このままいけば死ぬな。

 くだらない人生だったな。

 どうせ死ぬなら楽に死のう。

 そう思い意識を手放そうとしたとき

「なんじゃ、これで終わりか坊主よ。情けないのぅ。」

 そんな声が聞こえた。

「こんな場所で死にたくないのならついてくるか?」

 そう聞かれた。

 空耳なのかそんなのはどうだってよかった。生きたい、その一心で手を伸ばした。





「ハ・・・さ・・・。ハジ・・・さ・・・。ハジメさん!」

「ん?」

「どうしたんですか?ぼーっとして」

「あぁ、少し考えごとをね」

「大丈夫ですか?」

「あぁ、大丈夫だよ」

 いけないな今は今のことを考えなきゃな。

 そう思い頭を振って昔の思い出を記憶の奥底に沈めた。

 もう大分歩き続け周りにもいろいろな店が立ち並んでいた。

「ここがフェルス王国の王都の中心街です」

「へぇ、ここが」

 辺りには飲食店の他に服屋、パン屋、魚屋、肉屋、などがあり元の世界の商店街のような場所だった。

 

 ただ、初はそんな当たり前の建物より別の建物が気になっていた。

「なぁ、ティアちゃん。あの建物は何だ?」

 初は少し先にあり、他の建物とは二周り程大きい建物を指差した。

「あぁ、あれはギルドですよ」

「ギルド?」

「はい、ギルドは魔物を討伐したり盗賊や各国から指名手配されている人を捕まえたりするところですよ。主な仕事はこれらですけど他にも配達の仕事なんかもあります」

「なるほど」

 顎に手を当て初は頷いた。

 要するにゲームで言うクエストを頼む場所か、と自分なりに解釈した。


「・・・・・・ハジメさんって本当に記憶が無いんですね」

「まぁな、名前以外の記憶はさっぱりだ」

「・・・・・・私が思うにハジメさんって旅人じゃないんですか?」

「なぜ?」

「えっと、一番はその服装です」

 服装を指摘された初は自分の服と周りの服を比べてみた。

 初の服装は学ランのボタンを全部開けYシャツをズボンからだすといういかにもだらしない格好だった。ただ、初がその服でいるとカッコよく見えるから不思議である。で、そんな初の服と周りの服装は大分違っていた。周りの服装はRPGの服そのままである。そんな中で初の服はかなり浮いている。その為通行人も少なからず初を横目でチラチラ見ている。

 その視線を初は気づいていたがまさか服装のせいだとは思っていなかった。


「後はその髪ですね」

「髪?」

「はい、この大陸に黒髪の人は珍しいんですよ」

「へぇ」

 初は自分の前髪を触ってみた。

(まぁ、ありがちなパターンだな。・・・・・・しかし、そうするとこの髪は目立つな。今度どうにかするか。いや、どうにかすると言ってもこの世界でできるのか?うーん・・・・・・)

「ま、それはいいとして。ハジメさんどこか気になる場所は無いですか」

 思考の渦にはまっていた初をティアが連れ戻した。

 考えることはいいことだが考えすぎるというのが初の悪い癖である。

「気になる場所か・・・・・・」

 初が気になる場所は一つしかなかった。


「ギルドかな」

「・・・・・・ギルドですか」

「まぁ、そうなんだが。何か不都合でも?」

 ギルドの言葉を口にした瞬間ティアの顔が曇ったのを初は見逃さなかった。

「いえ、不都合という訳ではないんですけど・・・・・・。あそこは結構素行の荒い人達が多いんですよ」

 まぁ、そんなとこだろうな、と初は予想していた。

 魔物や盗賊なんかを相手にしている奴らがうじゃうじゃいる場所に女の子が行くとなると不安を覚えない訳がない。現にティアの目には不安の色が色濃く出ていた。

 そんなティアに初は

「大丈夫だ。君は俺が守ってやる。だから安心しろ」

 微笑みながらティアの頭に手を置いた。

「えっと・・・・・・。はい」

 ティアは俯きながら返事をした。頬は少し赤く染まっていた。

 こういうところは天然な初である。

「よし、行くか」

 そして、初とティアはギルドの方へと歩いていった。


 ギルドの前へ着きギルドを見ると遠くから見たよりもかなり大きかった。初も心の中でデカイなぁと呟いていた。

 初はチラッと横目でティアを見ると、やはりまだ不安そうな顔をしていた。

 本当ならば行く場所を変えるべきだが、なにぶん行ってみたいという好奇心が初を動かしていた。

 目の前にあるドアノブに手をかけて初は扉を開けた。

「・・・・・・ほぉ」

 初の口から感嘆の声が漏れた。

 初は最初ガタイのいい猛者たちが集まる所だと考えていたが、見てみると中はそれなりに綺麗で壁には装飾もされている。そこで雑談している者たちもガタイのいい者から細身な者までさまざまだった。

 ただ

「酒臭いな・・・・・・」

「ここは酒場も兼ねていますから」

 横にいるティアが答えてくれた。

 初は周りを見渡すと確かに丸テーブルに備え付けられた椅子に座りながら酒を飲む者がチラホラいた。

(昼間に酒を飲む何てロクな奴じゃないだろうな)

 そんなことを初は思っていた。


「ハジメさんはどうする気ですか」

「うーん・・・・・・。ここって登録しなきゃ駄目だよな」

 何となくそんな感じだろうなと思って初はティアに聞いてみた。

「はい、そうですけど・・・・・・。まさか・・・・・・」

「じゃあ、登録するよ」

「・・・・・・やっぱり」

 初がギルドに登録しようと思った理由は二つある。

 一つはこの方法が一番手っ取り早く金が貯まりそうだったからだ。魔物何かと戦う時は命の危険があるがその程度は承知の上だし、他にも仕事はあるので大丈夫だとは思う。二つ目の理由は初らしい理由だった。

(なんせそっちの方がおもしろい)

 この時の初の口元はニヤリと笑っていた。


「登録って何処でやるんだ?」

「えっと、あそこです」

 ギルドには何箇所か受付のような場所があった。ティアはその中でも一番右の受付を指差した。

「それじゃあ、ちょっと行くか」

 そう言って歩き出そうとした初の前にいきなり何かが現れた。

「おい、兄ちゃん。いい女連れてるじゃねぇか」

 そこにいたのは身長が二メートル程あり体を鋼鉄のような筋肉に覆われている男だった。

 そして、その男の口からは酒の臭いがした。

(ッチ、酔ってやがるなコイツ)

 面倒くさいなと思い周りを見るが止める者は誰もいない。むしろおもしろがって見ている者が大半だ。ティアに関しては怖くて初の後ろにしがみつき震えている。

「おい兄ちゃんよー。聞こえてるんだろ。その子を渡せば何もしねぇぜ」

 馬鹿の上にロリコンかコイツはと半ば呆れ気味に溜息を吐いて初に言った。

「黙れ木偶の坊。貴様に渡す女はいねぇし、貴様に言い寄る女もこれから先いないだろう」

「な!てめぇふざけんな!」

 その初の言葉にキレた男はいきなり初に殴りかかった。

 

 だが初は一瞬で後ろにいたティアを抱きかかえ後方へと飛んでいた。

「危ねぇなぁ」

「な!」

 男は初の動きに目を見開き驚いていた。観客として見ている周りの連中も同様に目を見開き驚いていた。

「ティアちゃん、ちょっと後ろに下がっててくれないか?」

「大丈夫何ですか?」

 ティアは潤んだ瞳で初に聞いた。

「大丈夫だ。言っただろ君は俺が守ってやる」

「・・・・・・はい」

 ティアは初に言われた通り後ろに下がった。

「待たせたな木偶の坊」

「貴様まぐれで避けたからっていい気になるなよ!」


 そう言って向かってくる男を初はゴミを見るような目で見ていた。

「自分の拳を避けられたことをまぐれ呼ばわりしている時点でお前は弱いんだよ」

 そして、そこから初は消えた。いや、男からは消えたように見えた。

「何!」

「遅えよ」

 初は男の懐に入り右の拳を握り締めていた。

「歯食いしばれ」

「ガッ!」

 男の懐に入った勢いと元から強い初の強力な腕力が合わさった拳は男の顎に入り体を浮かせ三メートル程吹き飛ばした。

「ふぅ、馬鹿が」

 ティアを含めた観客は信じられないものを見たように呆然としていた。

おもしろいと思って頂けたら幸いです。

できれば感想お願いします。

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