~プロローグ~ 追われながらの異世界へ
初めての投稿です。折角なので付き合って頂けたら幸いです。
「おらぁ!待ちやがれ」
「ッチ、しつこいな」
ブロック塀に囲まれた住宅街の道を十人ほどの男に追いかけられている少年がいた。
その少年は黒髪黒目で学ランのボタンを全開にして逃げていた。
少年は十字路の道を右に曲がりブロック塀をよじ登った。そのまま見ず知らずの民家の敷地内へ軽々と侵入した。そこに誰もいなかったのは嬉しい誤算だった。
「クソ!あの野郎どこに行きやがった」
「おい、俺たちはあっちを探すぞ!」
「何が何でも見つけるんだ!」
少年を追いかけていた男たちは目標を見失いバラバラに散らばって行った。
男たちの足音が聞こえなくなると少年は塀から少しだけ顔を出し辺りを見回した。
「・・・・・・行ったな」
男たちがいなくなったことを確認しそのまま民家の敷地から出た。
「たかだか昨日シメて金奪ったくらいで追ってくるなよ。ったく」
頭をかきむしりながら男たちに少年は悪態をついていた。
自業自得という言葉をこの少年は知らないらしい。
「・・・・・・ラーメンでも食いに行くか」
左のポケットから取り出した自分の財布と相談し終わったところで行きつけのラーメン屋へと向かおうと歩を進めたその時
「あぁ?」
自分の足元から光が出ていることに気がついた。
その光は一気に少年の体を飲み込んだ。
「な!」
間もなくしてその光は消えた。
そこに少年の姿はなかった。