第4話 マジックアイテム(前編)
始まりの洞窟を抜け、村へ向かうハツキとヒジリの姿。
いつの間にか夜は明け、朝になっていた。
「はぁー……なんか長い時間、洞窟に居た気がする。ツカレタ……」
ぐったりと肩を落とし、ハツキが呟く。
「こんな良い天気で、太陽も気持ちがいいのに。そんな顔して歩かないの!
お天道様に叱られるわよ」
姉かよ!
ハツキはそう思ったが、面倒くさくなりそうなのでやめた。
それよりも、その“気持ち良さ”が自分には分からないことの方が気になっていた。
「……代償か」
ふと、頭を過る。
――《代償》
感覚及び痛覚
感覚に、暖かさも寒さも含まれるのだろうか。
感覚神経が機能していない時点で、
温度を感じられないのは当然だ。
「どうしたの、ハツキ?」
「いや……ホント、気持ち良いな~って思ってさ」
さっき会ったばかりの少女に、代償の話をする必要はない。
代償の話をすれば、能力の話にもきっとなる。
まだ仲間だとは思っていなかった。
「あの~、ヒジリさん」
「ヒジリでいいわよ。何ならお姉ちゃんって呼んでもいいわよ♪」
「わかった。ヒジリは、なんで旅なんてしてるの?」
「え~とね。探している人と……モノがあるの。
そのために、強くならなくちゃって思ってね」
「そうなんだ。見つかりそうなの?」
「一つは解決。一つはまだかな」
「ふ~ん。見つかるといいね」
「ふふ、そうね」
そんな当たり障りのない会話をしながら、二人は歩いていた。
ふと、ヒジリの視線が、ハツキの腰にある白い皮袋へと向く。
「ハツキ、その皮袋って?」
「これはお父さんの《形見》なんだ」
大事そうに、ハツキは皮袋を撫でる。
「そうなのね……それって、
真珠龍の皮袋よね?」
「えっ!?」
「え!???」
ハツキは驚いてヒジリの方を振り向く。
それに驚き、ヒジリも思わず足を止めた。
「もしかして、分からないで使ってたの?
レア度Sのマジックアイテムよ」
「う、うん……」
「まさか、あたしが借りてる《微風の外套》は知ってたわよね?」
「えっ!?」
はぁ……と、ヒジリは溜息をつく。
この外套だって、レア度Aクラスなのに。
「それって凄いの? 効果は??」
ハツキは目を輝かせ、ヒジリに近付く。
「分かった。そこの木陰で、少し休憩しながら説明するわ」
太陽は高い位置まで昇っていた。
気温も上がってきており、休憩にはちょうどいい。
(……この子、暑さを感じてないのかしら。
結構暑くなってきてるのに)
「ここなら涼しいわね」
「う、うん。それより教えて! 教えて!」
「まずは、真珠龍の皮袋からね。
“討伐ランク:幻A”の真珠龍から、
レアドロップ《真珠龍の逆鱗》を入手して72時間以内に“鍛冶レベル:A”の鍛冶屋の釜で168時間かけて加工してもらう。
その後、“錬金レベル:S”の錬金術師が
336時間――寝ずに錬金して、やっと出来上がるのよ」
そして出来上がるのが――
⸻
~ 真珠龍の皮袋:マジックアイテム ~
レア度:S
効果:
・アイテムを皮袋の中で縮小し、保管
・食べ物・飲み物は、そのままの状態で永久保存可能
・欲しい物をイメージしながら手を入れれば、その手に収めることが可能
・持ち主以外が取り出せない、専用の保管場所を生成
⸻
「今、分かってる効果はこんなものね。
所持者が少ないから、まだ解明されてない効果もあるけど」
ふむふむ、と無邪気な顔でヒジリを見つめるハツキ。
「すっごいアイテムだったんだね!
さすが父さん♪ 次は? 次は?」
ヒジリは、ハツキの顔を見られなかった。
腰に巻かれている外套に指で触れながら、話し始める。
「この《微風の外套》はね――」




