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老女
リリと話したあの夜、私の命が今世との別れを迎えたことを知った。
私が愛した男はただ1人……
王、あなたとの思い出ごとの別れを。
何度も
姿を変え、
名を変え、
時を越えて
彷徨ったけれど、
いつも同じ男の影を追っていた。
王妃だった頃、私はあなたの隣にいながら、ひとつも抱かれなかった。
抱いてほしかった……
でも、それでも構わないと思っていた。
あなたが国を憂い、夜空を見上げる背中を照らす灯でいられるなら、それでいいと。
けれどあなたは、あの女を選んだ。
恋は知っていたが、愛を知らぬ王妃の冠は、やがて呪いの環に変わる。
だから……だから私は磔台で愛を憎悪に変えたの。愛してるから。
そして最後の夜、王の胸に手を置き、鼓動が止まるのを感じた。
「ようやくあなたを抱けた」
と、そう言ったのは私だったのか、あなただったのか。
それから世界は五度巡った。
姿を変え、
名を変え、
あなたの魂を
探し続けた。
けれどもういい。
愛は終わった。憎しみも、とっくに灰になった。
今夜ようやく、灯を消そう。
何度生まれ変わっても、もうあなたを見つけなくていいように。
さようなら、王。
愛した人。
憎んだ人。
私の命を永遠に変えた、
たった一人の男。




