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虹の架け橋  作者: 藤井桜
後日談+サブキャラのお話
535/562

クラスのイケメン王子と護衛騎士を微笑ましく見守る者たち(side新)*

 麻衣はちょっとしか出て来ませんが、高校時代のお話です。メインは新くんです。BL要素はありませんが、匂わせるような話になっていますので苦手な方はご注意下さいませ。

 


 二年一組のクラスには、キラキラの王子様がいる。性格も穏やかで、誰にでも優しい。クラスの人気者で女子生徒だけではなく、男子生徒からも好かれている。ただ、身長が少しだけ低いが、それも佐藤(あらた)の魅力で可愛いと言われて、好かれている。農業科で、王子様と言われると不思議な感じがしないでもない。


 そんな、王子、新の側にいつも一緒に控える(本人はそう思ってはいない)のは、護衛騎士と陰で言われている少年、高橋柊一(しゅういち)。実直が歩いていると言われる、堅物な青年だった。

 クラスのごく一部の者からは二人一緒にいるだけで黄色い声が上がる。



「新くん、これからみんなでカラオケに行こうと思っているんだけど一緒にどうかな?」

「ごめんね、今日はバイトが入ってるんだ。また今度誘ってくれると嬉しいな」

「そっか、また今度誘うね」



 王子がバイトに行く、というワードだけを聞くと不自然に聞こえる。実際のどこかの国の王子様というわけではないし、いちご農家だが、普通の家庭に産まれた姉と妹がいるごく普通の少年だ。姉と妹がいるために、少しだけ、女性の扱いに長けているのかもしれない。



「柊は部活?」

「ああ」

「じゃあ、途中まで一緒に行こうか」



 その瞬間、一部の女生徒から黄色い声がまた、あがった。柊一の部活は剣道部、そのためなのか王子を守る護衛騎士と呼ばれる所以だ。もちろん、新はそのことを認知して受け入れている。柊一は少し嫌そうであるのだが。


 廊下から階段の途中で隣りの二組の女子生徒が声を掛けてきた。柊一の幼馴染みの家までもお隣りの田端(たばた)あやねだ。



「柊、これから部活?」

「ああ、それ、資料室に運ぶのか?」



 返事を待たずに彼女の手にあった大きな資料は柊一が奪い取る様に、手に取る。後ろからその様子を見ていた新は「いつも優しいね」と呟いた。背の高い柊一の後ろに居たためか、声が聞こえるまで気付かなかった。



「あ、新くん。相変わらず大人気だねぇ。うちのクラスまで黄色い声聞こえてきたよ」

「煩かった? ごめんね」

「ううん、そんなことないよ。うちのクラスの女の子たちはクラスが違ってちょっと、残念がったたけどね」

「しょうがないね、こっち、農業科なんで、普通科の子たちとは、どうしても同じクラスにはなれないからね」

「そうなんだよね」



 すたすたと歩き始めた柊一の後に続く様に二人も歩き出す。資料室はすぐ下の階にあるので、武道館も玄関も通り道だ。柊一は剣道部だが、新は入っていない。部活に入らずに、バイトを選んだのは、ギターが欲しいから、らしい。柊一は、音楽とは、無縁なので、手伝う事は出来ないが、応援はしている。文化祭の有志でバンドすると聞いたが、誰にも言ってはいない。大騒ぎになるのは、目に見えている。七月のクラス出し物を決める際に、公表すると言っていた。知っているのは、柊一だけだ。



 そして、このクラスにはもう一人、王子様がいる。女子の人気を新と二分するほどのモテっぷりだ。その渦中の中にいる、川村麻衣もまた、部活には入っていない。基本、本人曰く、合唱部が無いから入っていないという事だった。運動は苦手で、一年の頃は、実習が忙しく、部活をする暇が無かった。家が農家の麻衣は、家に帰っても家の手伝いをしている。二年に上がり、随分と心にも余裕が出来たが、体力が無いので、文化部も含めて体力を使う部活が多いので、やめた。農家なのに、ここでも、王子様と呼ばれるのが不思議だ。



「二組にだって、かっこいい人いるんじゃないの?」

「そうだね、暮橋(くれはし)勇也くんは、バスケ上手いし、カッコいいよね。後は、利賀(とが)健也くんは、副会長だし、身長高くて、頭良いよね」

「僕、運動苦手だし、小さいし、なんかごめんね」

「新くんはね、可愛い枠だね」

「可愛いポジションかー、柊は?」

「え? 柊もかっこいい枠に入るの? こんな、無愛想なのに」



 悪かったな、って柊一は表情を変えずに呟いた。柊はね、力持ち枠? あやねがそう言ったら、そう言う枠があるのか、って新は楽しそうに笑う。



「うちのクラスは新くん派と勇也くん派が多いかな。隣りの三組は圧倒的に川村さん派が多いね。それと、会長派だね」

「それ、どっちも女じゃないか」



 口数もそう多く無い、柊一がそう言うだけあって、ツッコミ案件だった様だ。三組の明原(あけはら)美秋は生徒会長で入試でトップの成績だったとかで、生徒会長に選ばれた。長身で頭も良くかっこいいと言う女子にしておくのは勿体無いイケメンだ。



「あ、柊ちゃんありがとう」

「呼び方」

「ああ、ごめん」



 昔から『ちゃん』付けだと、つい、出てしまう。幼馴染み、怖いな。新もふざけてたまにそう呼ぶからタチが悪い。資料室に寄って日本史で使った資料を日本史教師の高倉港に渡すとそこであやねと別れた。そのまま、柊一は部活に新はバイトに向かう。あやねは残っている週番の仕事を終わらせてから、部活に行く予定だ。



「じゃあ、あやねちゃん、またねー!」

「新くんも頑張ってね」



 あやねに見送られて、昇降口で柊一とも別れる。昇降口で、新は見知った顔に顔を綻ばせた。さっき、話題に上がっていた川村麻衣だった。



「あ、麻衣、帰るところ?」

「うん、新くんはこれからバイト?」

「うん、一緒に帰ろうか」

「いや、それ、絶対に後から新くんファンに殺されない、私? 後ろから刺されるとか嫌だよ」

「みんな、優しいよ? そんな事無いって」



 半ば強制的に麻衣の腕を取って歩き出す。今日は、朝雨が降っていたので、麻衣は自転車では無く、徒歩だった。仕方が無いので、辺りに視線を送って歩き出す。ただし、腕を組むのだけはやめさせた。



「今日、絵美は?」

「部活」

「弓道部だっけ」

「うん、ちゃんとやっている様だよ」

「あはは、絵美って、邪な理由で弓道部入ったんだっけ」

「そうだね、と言うか、新くんも知っているんだね」

「だって、あれだけ、日本史頑張ってれば、気になるでしょう」



 絵美は毛利元就が好きだと言うのは、クラスで有名な話だ。途中で、麻衣と別れるまで、二人は他愛も無い話で盛り上がった。ちらちらと女の子の視線を感じているのが麻衣には気になったが、新は気にしていない様だった。



 その次の日、新の護衛騎士が変わった、と話題になって、新は楽しそうだったが、柊一と麻衣は顔を見合わせて嫌な顔をしたのだった。



 新くんにスポットを当てていますが、特に誰視点というものではありません。一応、新くん視点とさせていただきます。

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