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虹の架け橋  作者: 藤井桜
後日談+サブキャラのお話
529/554

僕の小さな嘘*

 八月にアーティスト写真の更新のための写真撮影をする話。嘘を付かない麻衣が珍しく付いた嘘。



 私のデビュー日は、二十五歳の誕生日の日だった。それから、特に決まっているわけでは無いが、事務所で一年に一度、アーティスト写真を更新しているので、今年もアーティスト写真を更新する事になった。

 これは、手直しなどをして、十一月十五日の私の誕生日に更新されるようだ。誕生日まで、あと、三ヶ月ほどだ。


 イメージカラーの白と紫は変わらないのだが、今回は薄紫では無く、濃い目の紫が選ばれた。それに合わせて、髪色も金髪から明るい茶色に戻した。襟足は明るめの緑がかった金だ。



「目元のラインも赤っぽい紫にしてみようか」

「そうね。ところどころに紫が入るから良いかもしれないわね。ラインの下には、カラフルなパウダーにしてみるわね」

「ちょっと、派手じゃない?」



 莉子さんと美月さん、楽しそうなのは、良いんだけど、されるがままの私はかなり落ち着かない。だって、いつもと違うメイクをしてもらっているからだ。それでも、カッコよく、と言うのは念頭にあるのかそれだけはこだわってくれた。



「そんな事ないわよ。似合っているわ」

「髪色を金から茶に戻したから、少し派手な方が良いと思うよ」

「そうね、衣装に合わせるから、これくらいの方が、かっこいいわね」



 白いジャケットの襟は薄紫だ。今回の衣装はジャケットが少し大きめで、流行りのオーバーサイズだ。中のシャツは濃いめの紫で、丈が長め。袖も長めで、折り曲げてある。スラックスも白で、裾に沿って幅が広くなっている。シャツの襟は広げてあって、デコルテを出すのは、実は初めてかもしれない。なので、リボンもタイも今回は付けていない。ワイルドさが出て良いわね、って他人事のように、莉子さんと美月さんには言われた。で、珍しいのは、横向きの顔がアップされた写真が多いのだが今回は全身で、立ちポーズだ。



「川村さん、両腕をあげて、伸びをする様な感じで。続けて次は、深呼吸する様な、ポーズで」



 カメラマンの進藤さん、結構、注文多いな。動きのあるポーズが少ないのは、助かるんだけどね。何枚か取って、その中から決めるようだ。使われなかったものは、事務所のオフィシャルサイトでファンクラブ限定で投稿されるらしい。うわ、抜かりがないな。



「お疲れ様でした」

「ありがとうございます」



 離れた場所で、確認していた、莉子さんが『お疲れ様』と言って、飲み物を渡してくれた。アイスコーヒーは、さっき、めぐみちゃんが買って来てくれたらしい。めぐみちゃんは、この後、このスタジオで私と同じ様にアーティスト写真の撮影だ。一年ごとに更新されて、今日の予定は私とめぐみちゃんだ。そう言うわけでめぐみちゃんも私と同じ十一月生まれだ。めぐみちゃんのプロフィールの更新は初めてだ。去年、デビューして一月に成人式を迎えたばかりで、私と二十歳も違う。若いな。



「マリ姐、お疲れ様でっす!」

「めぐみちゃん、コーヒーありがとう」

「いえいえ、えへへ、かっこいいマリ姐が見れて嬉しいです」



 撮影が一緒で嬉しいです、って言ってくれた。うん、これから、ずっと一緒になると思うよ。このまま、私の撮影は終わって、進藤さんは休憩に入るのだが、何故か二人でコーヒーを飲むところも撮られた。あは、これは完全にオフィシャルサイト用だな。めぐみちゃんのファンに殺されないか心配だ。



「大丈夫ですよー。私の方がマリ姐のファンに怒られないか心配です」

「これくらいの距離なら問題ないわよ。さて、麻衣はこの後、プロフィールの変更に移るわね」

「マリ姐って変更箇所ってあるんですか?」

「身長と体重は変更箇所じゃ無いかしら」



 いや、ちょっと待って。体重は増えたのは、良いんだけど、身長は嫌だな。でも、誤魔化したくないのも事実だ。こないだ、健康診断があって、身長は、変わらなかった。つまり、169.5センチのまま。体重は去年より二キロ増えた。どっちも誤差じゃ無いの? って言ったんだけど、傷は浅いうちなんて、返された。いや、それこう言う使い方するんだっけ。



「体重増えた」

「え、増えたのに喜んでいるんですか?」

「うん、身長よりは嬉しいかな」

「うわ、これ、流石にまずいんじゃないですか?」

「やっぱり、そう思う? 私は健健康診断、体重以外は問題無かったんだけどね」



 まだ、変更されていないので、私の体重は44キロって表記されている。それから、2キロ増えたけど、それでも、痩せすぎだって言われた。



「羨ましいですー」

「いや、だからって、そう言いながら、チョコレート口に突っ込むのやめて」



 ちょっと、不満げなんだけど、頬を膨らませているのが可愛い。休憩のおやつにめぐみちゃんがチョコレートを持参してくれていた。コーヒーに合うチョコレートだって言っている。夏にチョコレートって大変だよね。しっかり、保冷されていて冷たい。めぐみちゃんはチョコが大好きだ。夏でもこうして食べるほどに。



「めぐみはチョコレート少し控えなさいよ。年齢があがるとニキビで大変な事になるわよ」

「はぁい」



 めぐみちゃんのマネージャーさんの言う事もよく分かる。年齢があがるとにきびとか肌荒れ、治りづらいからね。それもあって、私はあまり、甘いものを摂らない。



 そう言いながら、真面目に聞いているのか分からない。後から、困るんだよ。ここにいる、莉子さんと美月さん、進藤さんも頷いている。めぐみちゃんもマネージャーさん含めてみんな同じぐらいの年齢だ。



 変更された、プロフィールを見て、きっと突っ込まれるな、と思う。だって、まだ、身長伸びるんですか、って言われそうだ。すみません、サバ読んでいただけです。


 そんな、珍しい私の小さな嘘に平謝りする事になる。すみませんでした。



 麻衣の嘘は可愛い嘘でした。

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