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虹の架け橋  作者: 藤井桜
後日談+サブキャラのお話
526/551

スタンプ発売しました。



 少しづつ書き留めてイラストが規定の数に達したので、スタンプの発売が決定した。時間が空いた時に、ちょこちょこと描いていたので、打診された時から半年ほど経っていた。半年前に描いたイラストを見て、これ、修正しても良い? って言ったら、このままで良いわよと、莉子さんに言われてしまった。いやいや、修正させて。そう言うと、いつまで経っても発売出来ないじゃ無いのって言われた、確かにそうなんだけどさー。



「色々と描いたから、使い勝手良さそうなの選んで下さい」

「相変わらず、仲良いわね」

「ああ、これか。(よし)くんにリクエストされたんだけど、これは無理なら使わなくても良いです」



 莉子さんが気になったのは、黒ウサギとシュナウザーが並んでいるものだった。動物ってさ、スタンプにした時に、メッセージに合わせるの難しく無い? こんにちは、とかどう表現したら良いのか悩んだよ。メッセージで誤魔化したくなかったんだよね。そして、悩んで描いたものは結局最後まで残ってしまった。嘉くん以外にはバラせないので、本当は絵美や文香(ふみか)にも相談したかったんだよね。



「莉子さん、ごめんなさい。ウサギで描くのは今回だけでお願いします。かなり、難しかった」

「ウサギじゃ無いなら良いの?」

「良いけど、ウサギ以外じゃ売れないかもよ?」



 私の自画像じゃ、売れないんじゃ無いかな。そんな事無いわよって言われたけれど、仕事に余裕が出来たらかなぁ。時間をかけても良いなら、その時にお願いします。今回も半年掛かっているからね。



「ねぇ、麻衣」

「何ですか?」

「スタンプって言えば、これ。どう思う?」

「お、聖良(せいら)ちゃんの可愛いですね」



 ゴシックな感じなイラストは可愛くて、その中でも目を引いたのは、メッセージの幾つかがドイツ語になっていたからだ。ドイツ語って、聖良ちゃんにぴったりだ。



「この、『ヤー』って『はい』のドイツ語ですよね。他にも、『メルシー』や『グーテンモルゲン』とか有名な挨拶のドイツ語があるんだね」

「これ、レーゲンボーゲンでもすれば良いのに」

「私から、嘉くんに、提案して見ましょうか」

「やっぱり、浅生(あそう)画伯のイラストになるの?」

「あー、あれかー、嘉くんはかなり、申し訳無さそうなんだけど、人気あるからなー」



 浅生画伯のイラストはかなり好評で、ファン以外にも浸透しているんだよね。それに、嘉くんと遥くん二人とも、苦笑しながら首を傾げている。嘉くんのイラストのスタンプは『浅生画伯のゆるゆるスタンプ』と言う名前で第三弾まで出ています。すごいな。嘉くんのイラストにドイツ語のメッセージバージョンも売れそうだね。



「良いんじゃ無い。このクリスマスとお正月は出番が限られるけど」

「そうなんですよね。でも、これは早い段階で出来上がっていたんですよ。分かりやすく、サンタ帽を付けたり、お餅食べたり出来るので」

「そうね、それで、『ありがとう』が最後まで残ったと言うわけね」



 イラストの位置から察してくれた。最後まで残ったのは、『ありがとう』だ。ウサギが手を振るのも難しかった。手を振るだけなら、『さようなら』でも『こんにちは』でも使えるからだ。それと、どこで使うのか意味不明なウサギが虹を渡っているやつ。これは、私らしいと言う理由で使われる事になった。一番楽だったのは、『おやすみ』だった。だって、寝てれば良いんだものね。



「同じもので、『Fluss(フルス)』のもって思ったんだけど、もうやりたくないのよね」

「いや、同じものをオオカミで描けばいいんでしょ、悩む必要無いからそれは大丈夫だけど、嘉くんのは私に関係無いから描かないよ」



 そう言ったら笑われた。嘉くんの事は今のところ、私の仕事には関係ないので、やりません。ここに、嘉くんがいたら渋りそうではあったんだけどね。



「はい、と言う事で、これは完成で」

「宜しくお願いします」



 うん、一つ仕事が片付いて肩の荷が降りた様な気がする。そのタイミングで今日はスタッフにお姉さんがお代わりのコーヒーを持って来てくれた。一緒に、高そうなお菓子も一緒だ。これ、食べても良いの? そう言って、視線をお姉さんに向けるとお姉さんは照れた様に頬を染めると「ぜひ、食べて下さい!」と言ってくれた。その様子に莉子さんは苦笑している。あはは、これは、事務所関係無いのか。まぁ、ちょっと疲れたので甘いものもたまには良いかな。



「ありがとう、いただくよ」



 そう言うと、『きゃー』と声には出さないけれど、表情がそう言っている、お姉さんはお盆で顔を隠しながら応接室を出て行った。あはは、かわいいね。



「相変わらず。無駄にイケメン発言しているわね」

「無駄ってなんですか」

「あら、これ、美味しいわね」

「うん、美味しいけど、この羊羹、嘉くん食べれないやつだ」

「嘉隆くん、羊羹だめなの?」

「ゼリーとか、食感がダメみたいですよ。そう言えば、莉子さんの嘉隆くん呼び良いですね」

「そうね、博行くんがそう呼ぶからね。麻衣、嫌がらないわよね」



 嘉くんは、私に嫉妬して欲しい様だけど、私は、そんな事は無い。莉子さんが、苗字呼びから名前呼びになった事が単純に嬉しい。



「沖さんって、すごく言いやすいから、私は無理かな」

「言っとくけど、私も沖なのよ」

「莉子さん、良いな」

「何が?」

「苗字と名前を含めて四文字ってすごいな」

「麻衣だってたいして変わらないじゃ無い。一文字違いなんて誤差よ。流石に、結婚して浅生になったの忘れているわけじゃないわよね」

「流石に忘れませんって」



 確かに浅生麻衣でも五文字だ。でも、四文字の人って中々いないよね。苗字が二文字の人って、沖さん以外には、高校の生徒会副会長をしていた利賀くん、美秋ちゃんの旦那様ぐらいだね。



「お、これ、更に発展させて、愛夢(あいむ)ちゃんと一緒も良いかな」

「ああ、宮城弁するのね。面白そうね」



 愛夢ちゃんも犬だよね、タブレットにプードルを描いて、『おばんです』って入れてみた。中々、面白いけど、事務所が違うから、無理かな。そんな事無いかもよ、って莉子さんに言われた。『bitter&sugar』で出すのもありじゃないのって言われた。出しても良いけど、そっちは誰かにお願いしたいな、って言ったら笑われた。



 後日、rip tideからのOKももらえる事が出来て、続けて発売されたのだった。それには、愛夢ちゃんはすごく嬉しそうだった。



 麻衣のイラストのスタンプ、可愛く出来ていそうですね。

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