その問いに答えて
番組の一週間前に知った。何事にも挑戦しようと思っている遥くんがバラエティ番組に出る事になったそうだ。一緒に出るのが、綾ちゃんで、更に驚いた。ぼそりと、嘉くんが、綾香、あまり勉強得意じゃ無いよ、と言った。それで、こんな教養系のクイズ番組に出て大丈夫なのだろうか。私だったら、頭の悪さはバレているけれど、絶対に出たく無い。
「野菜を答える問題なら、全部答えられそうだよね」
「いや、私でも知らない野菜いっぱい、あるから」
今回のクイズ番組はチームに分かれて対決するんだけど、チーム分けが東日本対西日本だった。なので、遥くんと綾ちゃんは同じチームと言うわけだ。遥くんからはこの番組の話は聞いていない。番組が始まる前にボロを出したく無いのだろう。嘉くんとも事務所では、この話はされていない様だ。
「もしも、俺たちが出ていたとしたら、チーム分かれるね」
「そうだね、西日本って嘉くんしかいないけど、だって、私も遥くんも綾ちゃんも東日本だよ」
「いや、でも、ワンチャン麻衣も広島県民って事で出れるかもよ?」
「いや、出身はずっと残るものでしょ。無理だって」
「だめかー」
いや、まぁ、出るつもりは無いんだけどね。でも、TVは録画して見るんだ。嘉くん、珍しく、綾香の珍回答楽しみだよ、って言っている。綾ちゃん、そんなにダメなのか。遥くんの反応が気になり過ぎる。
* * *
夕ご飯は、今日は早めに食べた。私が夕ご飯を食べながらTVを、観るのを嫌がるからだ。実家にいる頃は夕ご飯が五時半頃だったと言うと驚かれた。農家なので、朝も早いし夜も早いんだよね。
麻衣って朝苦手だよねって言われたけれど、おばあちゃんがいる頃は真面目に眠いけどちゃんと起きていた。幼稚園の頃や小学校の頃はたまに眠掛けをしながら食べていて笑われた。
それ、可愛いって言われた。いや、写真あるんだよね。嘉くんのお義母さんと違ってうちのは、そう言った気遣いはしないので、泣いている写真とか何枚も存在する。
「始まるよ」
「遥くん、初登場でリーダーだ。すごいね」
TVには、ちょっと緊張している遥くんがいる。ちゃんと、レーゲンボーゲンの古川遥で紹介されていた。服装は普段着ている様なスタジャンでカジュアルなものだ。きっと、ズボンはカーゴパンツやジーンズとラフなものかもしれない。座っているから見えないんだけどね。そして、隣りの綾ちゃんは白いジャケット姿でこっちも下はわからない。
「遥って教養はあるけど、そこまで早押しとか得意じゃ無いんだよね」
「そうなんだ」
「でも、この番組はそこまで教養は求められていない感じだね。綾香がいる時点でそれは思っていた事なんだけどさ」
「嘉くん、綾ちゃんに厳しい」
「だって、本当の事じゃん」
「うわ、私ダメだしされそうなのでこう言うのはパスして良かったよ」
「打診とかあったの?」
「うん、あったよ。おバカタレントとしてオファーがありましたよ。断りましたが」
「いや。遥たちに比べたら俺だって同じ部類だよ」
遥くんやサポートメンバー、奏子ちゃんは大学を出ているので頭は良いけど、私や嘉くんは高卒だ。確かに同じ部類に入るだろう。断った理由が偏差値は低いけど、学力はクラスでは上位でした、と言うと求めている人と違ったらしい。あれはきっと、あの人たちのヤンキー発言のせいだろう、私は決してヤンキーではない。
「すごいな、遥」
「どんどん答えている」
「うん、チーム。遥くんしか残っていない」
残りの問題が五つとか残っていたのに、全部答えてしまったよ。綾ちゃんは一問目で敗退していました。完全に足引っ張っていてMCの人に突っ込まれている。
動画のこともあるんだけど、最近、遥くんと綾ちゃんの絡み多いな。遥くんと綾ちゃんも楽しい掛け合いをしているのが、他の出演者さんたちにも受けている。
「あは、遥くん一人勝ちじゃん」
「確かに」
結局、最後は接戦で東日本チームが勝利で終わった。初登場で優勝ってすごいね。足を引っ張っていた綾ちゃんがいなかったらもっと大差で勝っていたかもしれない。でも、こんな感じで、クイズに苦手な人を入れるのも業界あるあるなんだよね。だから、私にオファーが来るわけだ。
放送回まで遥くんからその話題をする事はなかった。ようやく、話せるって遥くんは少し自慢げだ。遥くんにはおめでとう、のメッセージを送ったんだけど綾ちゃんには流石にパスした。だって、その後もボロボロだったんだもの。嘉くんはやっぱり、と言った顔をしている。この手の番組表にはやっぱり、私は出たく無いな、と思ったのだった。バラエティはやっぱり、選んじゃうね。
遥くんは、協力戦のクイズ番組に出ていますが、その後、他の教養系で個人戦のクイズ番組にも呼ばれそうですね。




