引越しの手伝いに行く(side遥&サポートメンバー)*
八月前半ごろ、麻衣たちは宮城旅行に行っている辺りの頃の話です。
遥の引越しの手伝いを頼まれた。流石に、円が手伝い行く、と言ってくれたが、手伝いは随分前から頼んでいたと言う理由で断った。その手伝いはもちろん、晃と荘太郎、佑だ。麻衣と嘉隆は、嘉隆の両親が今日から宮城旅行に行くと言うので、一緒に案内する様で、手伝いには来れなかった。
お互い引越しを何度か経験しているので、手際も良い。基本、業者任せだが、それでも、自分たちでやる事も少なからずあった。持参した軍手を嵌めた佑が、遥の分の軍手を渡しながら口を開く。
「後から、奏子がお昼ご飯を差し入れに来てくれるって」
「悪いな」
「まぁ、業者がほとんどやってくれるんだろ?」
「ああ、そこまで、多くはないけど、家具の類は新しくしたいから、処分したいかも。要らないものをまとめるのを手伝って欲しい」
「遥の部屋、テーブルとソファぐらいしかないだろ。まぁ、いいや。了解」
読まなくなった本や着なくなった服は箱に詰めて、買取に出す予定だ。それと、欲しいものがあったら、持って行っても構わないと行った。テーブルとソファは荘太郎と佑がどうにしかしてくれると言う事になった。もしかしたら、リサイクルショップに持っていくのかもしれない。そんな事はしないが、ぼそりとこれ、メルカリに売ったら高値付きそうだなと呟いていた。
「え、じゃあ、『ラー』くれ」
「いや、それはダメだ」
「分かってて聞いたんだけど」
お気に入りのボードゲームだけは断る遥と晃のやり取りに笑う佑に、とりあえず、スラムダンクの全巻を押し付けておいた。「え、俺これ持ち帰るの?」と笑っているので、持ち帰ってくれるだろう。
「これ、結局、遥が集め始めたから買ってないんだよね」
「ここで、広げると仕事にならない」
「ああ、引越しあるあるだよね。処分したいもの吟味していて、読んじゃうやつ」
ある程度、まとめておけば、引越し業者が詰めてくれるから、仕事が忙しいので助かる。一番、増えたのはボードゲームと本だ。実家に残しておいて被っている本は問答無用でリサイクル行きだ。
箱は六つとかなり多くなった。箱に詰めて送って査定してもらおうと思ったが、荘太郎がリサイクルショップに行ってくれる事になった。売れたお金は打ち上げにしようと決めた。
時計を見るとお昼を回っていた。奏子からタイムリーな事に連絡が入った。お昼の準備が出来て持って来てくれたようだ。だか、お昼を作って来てくれた奏子が一人では持てないと、聖良を誘った様だ。結局、差し入れも持って来てくれたので、かなりの量だった。呼べばよかったのに、と佑が奏子を労う。楽しそうにやっているの、水を指すわけにいかないじゃん、と言われた。
「こんちはー、お、片付いてるね」
「ああ、奏子ちゃん、いらっしゃい」
「麻衣ちゃんと愛夢ちゃんはいないんだよね?」
「うん、二人とも仙台」
「七夕あるんだっけ。私、見た事ないんだよねー」
「あれ、すごく良いよ」
「来年、行こうかな。愛夢ちゃんに案内してもらお」
これ、冷蔵庫はまだ、使えます? そう言って、冷たい飲み物を持参して来た聖良の荷物をさり気なく受け取ると晃は人数分の飲み物だけを残すと冷蔵庫にしまってくれた。
人数が多いので、全てテーブルに並び切らないので、床の上にも並べられた。大量のおにぎりと箱に詰められたおかずは手作りで美味しそうだった。
「こうして、ここで食べるの最後なんだな」
「なんだかんだ、言って十年住んでいたな」
「それくらい経つっけ」
「ああ」
「業者くるのいつ?」
「次の週末」
「来週じゃねぇか」
ほとんどものが無いので、直ぐに終わるだろう。不必要なものだけ今日、処分してしまえば良いので、そこまで時間は掛からない。それと、週末に少しづつ片付けてもいた。
来週に、晃にはもう一度、部屋の掃除を手伝ってもらう事になっている、どこで、漏れたのか、みどりも手伝いに来てくれるらしい。
「ね、遥くん。本当にこれもらっちゃって良いの?」
「ああ」
「優希が読みたいって言ってたから嬉しいよ」
「うん、こんな手間賃で悪い」
「気にしないでよ。引越しはお互い様だよ」
隣りの佑もおにぎりに齧り付きながら頷いている。最低限、必要なものだけを残して、今日の引越し作業は終わった。引越しは一週間後だ。
遥くんのお引越しは三回目ぐらいでしょうか。実家から引っ越しているのもカウントすると、五年ほど住んで引越し、十年ほど住んで、今回の引越しになっています。




