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虹の架け橋  作者: 藤井桜
後日談+サブキャラのお話
519/531

ご飯と方言*

 麻衣が嘉隆くんを苗字呼びから名前呼びに変わった頃の過去話です。



 今日は、古川くんが、ご飯を食べに来ている。私と嘉隆(よしたか)くんは、おもてなし中だ。料理のほとんどが、嘉隆くんの手で作られているけれどね。私の部屋なのに手伝う事がほとんどない。作ってくれるのは、嬉しいんだけど、言ってくれれば手伝うんだけどな。



「麻衣、そろそろ、ご飯ついでー」

「え、つ、ついで??」

「あー、それ、言わない?」

「うん、初めて聞いた」



 何の事か分からずに、私は、キッチンから、リビングに運んでいた料理の手が止まった。古川くん「知っている?」って聞いたけど首を振られた。嘉隆くんが言った言葉は、古川くんも知らないようだ。



「嘉隆くん、それ、どう言う意味ですか?」

「ん、茶碗にご飯を『つぐ』以外の言葉って、何かある?」

「ああ、そっか、分かった。ご飯を『盛る』だ!」

「ご飯を『盛る』? 俺、そっちの方が聞いた事無いね」



 だって、大盛とか、使うよね。だから、ご飯は『盛る』ものだよね。古川くんに、『盛る』だよね? って聞いたらまた首を振られた。え、これも違うの?



「ご飯は『よそう』ものだろ」

「あー、使ってるの聞いた事ある!」



 東京というか、関東は『よそう』って言うらしい。そうか、『盛る』が標準語だと思っていたので、意識していなかった。嘉隆くんが、『つぐ』って言っているのも気にしていなかった。



「東北では、そう言うの?」

「どうかな、愛夢(あいむ)ちゃんのところってどうなんだろう」

「仙台だっけ、愛夢ちゃん。麻衣ちゃんとこと違うの?」

「私それ、標準語だと思っていたからね。分からない。でも、うち、宮手県だから」

「それなに?」

「父が、よく言ってるんだけどね、気仙沼(けせんぬま)地方って、岩手県に食い込んでいるんだよね」



 気になった古川くんがスマホで、地図を見て、ああと納得したようだ。宮城県ではあるんだけど、岩手県の一関(いちのせき)市と東西で変わらない位置関係だ。なので、父は宮手県って言った。言い得て妙だと思う。



「言葉も岩手県から宮城県にかけて、三陸地方ってひと括りにされる事があるんだよ。だから、仙台弁って言うと、違うって否定したくなるんだよね」

「なるほど。それ、岩手県の方言も少なからず混じっているって事なんだね」

「うん。混じっているね。ちょっとずつ変化しているけど、あまり変わらないかもしれないね」

「面白いな」

「そうだね、古川くんと嘉隆くんと私で、言い方が違う言葉がある事がすごく不思議だよ」



 不思議なことに、ご飯を盛るって、言い方は違っていたのに、味噌汁は三人とも一緒で、『つぐ』でした。嘉隆くんのご飯も味噌汁も『つぐ』には違和感があった。『つぐ』って普通は水分のあるものに使うよね。

 面白がって、古川くんは、今日のおかずを指しながら、色々と方言で言わされた。東北は、色んなものに『こ』を付けるのが多いって言ったら、嘉隆くんに可愛いねと言われた。それ、うちの兄が言っても可愛いか?



 ニュースで知って、私もずっとご飯は『盛る』もの、だと思っていました。

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