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虹の架け橋  作者: 藤井桜
後日談+サブキャラのお話
512/521

ファンクラブ特典の話(誕生日編)*

 七月十三日の文香の誕生日の話の過去話になります。



 今日は、文香(ふみか)の誕生日だ。四十一歳おめでとう、と言ったら、ぽこぽこ怒りながら、頬を引っ張られた。いやいや、私だってちゃんと誕生日来るよ? 数ヶ月先だけどね。


 夜に待ち合わせをして、個室のあるおしゃれなお店にいる。(よし)くんが選んでくれたので、今日は嘉くんも一緒だ。私と二人だけで、飲もうと言っていたんだけど、サプライズで嘉くんも誘った。嘉くんは、楽しそうに、お店を予約してくれた。




「!」



 なんで、いるの、って言うのが目を見て直ぐに分かった。嘉くんは、悪戯が成功したのが嬉しい様で、周りに人がいるので、猫を被ったまま、にこにこと微笑んでいる。



「文香、こっち」

「うん、で、なんで、いるの?!」

「喜ぶかなって」

「心臓止まるかって思った」

「そこまでか」



 個室に移動した途端、嘉くんは通常通りに戻った。文香、相変わらず、きょどっていておもろ、って言っている。あはは、嘉くんは楽しい事が好きなのも相変わらずだね。



『happy birthday 文香ちゃん』



 うーあー、と言って文香が困った様に私に抱き付いてきた。文香にバースデーソングを歌ったのは、嘉くんだ。嘉くん、最後にファンのみんなを呼ぶ様に『ちゃん』付けしてくれたのだが、それ文香にわざと言った。前に、私、文香に、公私混同しないで、って怒られたばかりだ。流石に嘉くんを怒れないので、私に抱き付いてきたわけだ。



「それ、反則ぅぅぅ」

「あははは、文香、良い反応してくれてありがとう。と言うか、その動画見たんだね」

「うん。見たよ。だって、ファンクラブ特典で送られてくるしね」



 誕生日にそんな事しているのか。でも、ファンには嬉しい事だろうね。ちなみに、私のファンクラブでは、月に一度、その誕生日の人にメッセージカードが送られる。昭和みたいだ、って絵美には突っ込まれたけどこれ、好評なんだよ。だって、残るものだしね。ただし、転売されない様にカードにはしっかり、ファンの子たちの名前も入っている。いないと思うけど、対策だって言われた。転売されたら悲しいからね。



「動画の方は、無断でアップロードとかあるから、麻衣の様にカードの方が良いかもね」

「やっぱり、されるんだ」

「悪い事だって分かっていない子が善意でアップロードしているパターンもあるね」



 ああ、そうだよね、その辺、対策はやっぱり難しいのかな。あまり、酷いと動画を配信するのをやめるかもしれないね、って言ってる。残念だけど、仕方が無いのかな。その辺、取り締まる事は難しいね。



「で、これ。こないだ、嘉くんと遥くんと一緒に選んだんだよ」

「麻衣って、高校の頃も真面目にプレゼント贈ってたよね」

「高校生のお小遣いの範囲だし大したものじゃ無いけどね。流石に、仲の良く無い子のまでは、受け取らなかったけどね」



 そう言ったら、嘉くんに、高校でも女の子にプレゼントされそうになっていたのか、と言われた。ちゃんと、断りましたからね。もらったのは、絵美と文香ぐらいだよ。男子とは、そんな事しなかったしね。



「開けていい?」

「どうぞ」

「お、香水?」

「うん、嘉くんがね、文香の名前から、香水を思い浮かべてくれたんだ」

「え、嘉くん?!」

「あはは、文香、反応良いなぁ。うん、喜んでくれるといいな」

「ありがとう」



 嘉くんが香水を選んでくれたわけでは無いんだけど、そこは言わなくての良いかな。嘉くんは何か言いたそうだけど、そこは見なかった事にした。嘘は付いていない。嘉くんが文に香りを付ける事を言ってくれたのは本当の事だ。



「麻衣が選んだの?」

「すごく、意外そうな顔するね」

「だって、麻衣だよ?」

「そりゃあ、昔から優柔不断だけどさ」

「でも、嬉しい。ありがと」

「気に入ってもらえて良かった」

「これさ、紙に付けると良い香りがするんだよね」

「練り香水でも、出来るんだ」

「液体の香水よりも滲みとか無くて良いよ。液体だと、アルコール使われていたりするから、アルコールって滲むでしょ」

「ああ、なるほど。練り香水はアルコールは使われていないんだね」

「アルコールに弱い人とかに向くね。ただ、香りは数時間で落ちちゃうんで、何回も付け直す事になるけど」

「詳しいね」

「飲むアルコールは平気なんだけど、少しだけ肌弱いんだ。練り香水で良かったよ」

「すっかり、その辺の事忘れていた。ごめん」

「いや、私も何も言ってなかったし。ほんと、ありがとね。えへへ、早速、つけちゃお」



 普通の香水にしなくて良かった様だ。嘉くんは、私と文香の会話を聞いている。柑橘の香りはこれからの時期に良いよね。爽やかな香りは、飲食店にいるんだけど特に気にはならないね。



「柚子って、良いよね。私、好きなんだ」

「柚子って冬のイメージだよね」

「まぁ、季節問わず使われているから気にしないよ」

「そっか、なら良かったよ。もう一つは、イベントにでも、付けて行って」

「うん、来月付けて行くよ」

「来月あるんだ」



 少しづつ、イベントの準備で忙しくなっていくと言っていた。詳しい事は聞かないけどね。東京であるレーゲンボーゲンのライブが九月で良かったって言っている。まぁ、流石に八月にある広島でのイベントには行けないか。



「麻衣、ありがとー、元気もらったよぉぉ」

「え、俺は?」

「嘉隆くんもありがとうございます」

「ファンクラブ関係無しに、お祝い言うからね」

「そっちも、良いものなんですよ」

「そっかー、それはしょうがないかな」



 やっぱり、嘉くんは怒れなかった様だ。文香には文香なりの考えがあるのも分かる。私こそ、そう言ってくれる友人は大事にしたいね。



「でもさ、参考にさせてよ。ファンなら何が欲しい? 俺たち、麻衣がファンの子たちに接するより、ずっと、冷めている自覚があるんだ」

「どう言う事?」

「麻衣は、肩を組んで、一緒に写真に写ってくれるし、握手だってしてくれる。でも、俺たちってそう言うこと、やらないからね」

「肩を組むのは、やっぱり、恐れ多いので、握手ぐらいならあっても良いです」

「そっか、参考になったよ、ありがとう」



 嬉しそうに、嘉くんは、わざと文香の手を取ると、にこにこと微笑みながら握手をした。案の定、文香は声にならない悲鳴を発した。



 その後、レーゲンボーゲンは、ファンクラブイベントで握手をする事にしたのは、また先の話だ。嘉くんたちも、色んな事に挑戦を実践しているようです。



 この後、レーゲンボーゲンのファンクラブイベントで、握手会が行われました。

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