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虹の架け橋  作者: 藤井桜
後日談+サブキャラのお話
509/513

その瞳に映るきらきら*

 がっつり、麻衣の推しの話をしています。特定のアーティスト名、曲名が出てきますので苦手な方はご注意下さいませ。



 この話題は、間違ったとは思っていなかった。だって、いつもこの人は嬉しそうに、にこにこと甘い優しい笑みを浮かべながら、この話を聞いてくれる。他の男の人の話をすると機嫌が悪くなるのにだ。


 久し振りの休みで、私は、作業部屋でギターに触っていた。何を歌おうか。ソファの隣りに座る(よし)くんは何かを期待する様な目でこちらを見ている。



「麻衣が一番好きなのは『素直な虹』と『君の声で、君のすべてで…』だよね。俺は、『夢の続きへ』が好きかな」

「おお、それ、すごく元気がもらえる歌だよね。活動再開した頃のレーゲンボーゲンに通じるものがある歌だと思う」

「うん、その頃に聞いていたら、また違った気持ちで聞いていたかもしれないね」

「この歌は、私がsurfaceさんを聞くから?」

「有名な曲は結構、知っていたよ。『さぁ』とか『それじゃあバイバイ』とか『なぁなぁ』も有名だね。どれも、言葉遊びが楽しくて、つい口ずさみたくなる歌詞ばかりだったね。麻衣が好きなのを知って、俺も聞く様になって、バラードも良いな、って思った」

「だよね、私が好きなのってバラードが多いから。もちろん、全部好きだよ」



 他にも『その先にあるもの』も好きだし、『フレーム』も好きだって、言ったら、それ全部、バラードだねと言われた。確かにそうかもしれない。少し切ないけれど、しんみりした曲の方が好みなんだよね。有名曲はやっぱり、明るく前向けで、そして、どこかおどけたようなそんな感じの歌が多い。前に、奏子(かなこ)ちゃんと歌った『ゴーイングmy上へ』は明るくて元気になる曲だ。嬉しいな、『フレーム』も聞いてくれているんだね。一緒に聞くのは、セトリが多過ぎて、ピンポイントで聞けるわけじゃ無いからね。



「歌って、って言ったら歌ってくれる?」

「うん、『夢の続きへ』を歌う?」

「うん、それが良い」



 これさ、文香(ふみか)が好きなアニメの曲だよ、って言ったら嘉くんに笑われた。文香は相変わらずだね、って言われた。今頃、文香はくしゃみしているかもしれない。



「surfaceさんに会いたいって思わないの?」

「実は、一度だけお見かけした事がある」

「会った事無いって言ってなかった?」

「会ったっていうほどじゃ無いから」

「どう言う事?」

「音楽番組で一緒になって、遠くから、頭を下げたくらい。話したことは無い」

「なるほど」

「人見知り、発動してきっと話すどころじゃ無いと思う」

「可愛いな」

「どこが?!」

「surfaceさんだけは、仕事でもどうにもならないんだね、って思うところ」



 ああ、確かに前に、好きなミュージカル俳優さんと一緒に出演する事になった時は、練習の際にちゃんと『川村麻衣』を演じる事が出来たけれど、椎名さんに会える、ってなったら一ファンの私はかなり挙動不審なる自信がある。



「あのね、なんとなく、って言った事あるけど、黙っていた事があるんだよね」

「麻衣は嘘を付くのが下手だから、黙っているのは、正しいね」

「椎名さんって、『ラビットマン』なの」

「どう言う事?」

「卯年生まれだからだと思う」



 なので、ファンクラブのロゴもウサギだ。私のウサギのモチーフはそれを意識しているところがあった。ちょっと、恥ずかしいから今まで話していなかった。



「あ、ほんとだ」

「ね、ウサギでしょ」

「可愛いか、って言われたらちょっと分からないけれど、ウサギだね」

「うん、勝手にお揃いだな、って嬉しくなってる」

「あはは、勝手になんだ」

「勝手になんです。それを、言ったのは、嘉くんだけなんで、内緒にしてもらえると嬉しいです」

「うん、OK」



 ロゴが似ているなんて事はない。ただ、私もウサギを使っているって言うだけだ。黒にしたのも対照的にしたかっただけ。私の『虹』が勝手に、『素直な虹』に向けた歌だって言うのも内緒で、話したのも嘉くんだけだ。


 約束通り、私は嘉くんが好きな『夢の続きへ』を歌う事にした。ギターを引っ張って、永谷さんの様に上手ではないけれど。そう言えば、これも、バラードだね。surfaceさんの歌を歌っている私はきらきらしているって言われた。


 優しいバラードの調べは、私と嘉くんの心に優しく溶けたのだった。



 麻衣が何故、自分自画像にウサギを使っているかの謎が解明されるお話。

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