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虹の架け橋  作者: 藤井桜
後日談+サブキャラのお話
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レーゲンボーゲンのイベントに参戦する

 


 レーゲンボーゲンのイベントに行く事にした、と言う連絡を文香からもらったのだが、なんで今更と聞いてしまった。(よし)くんとなんて、うちに遊びに来てくれたし、一緒にカラオケにも行ったよね。


 そして、今度のレーゲンボーゲンのイベントは、ファンクラブ会員だけじゃ無くて一般販売もされるらしい。ライブほど、大きなものでは無く、ファンクラブ会員は、握手付きだそうだ。ファンクラブミーティングに一般参加も出来るライブが付いたものだって言う事だ。



「え、だって、カッコいいのを再認識したからに決まっているじゃん」

「嬉しいんだけど、言いたいのはそこじゃ無い。私たちと一緒に会うのは嫌なの?」

「麻衣、怒ってる?」

「怒ってないよ。うちに遊びにくれば、いつでも嘉くんに会えるでしょ、って思ったんだよ」

「それ、なんか違うんだよね。やっぱり、推しには、課金したいじゃん。私にとってはね、麻衣と一緒の時は、親友の旦那さんだけど、推し活動している時は、推しの『嘉くん』なんだよ。麻衣だって、もしも、推しの椎名さんと友達になったらどうする? 一緒に写真撮ってもらったり、それを自慢したりなんてしないよね」

「そうだね、文香、ごめん」



 絵美もみんな、私がチケットを送るって言っても、ちゃんと自分たちでチケットを買ってくれる。たまに冗談でグッズをちょうだいって言う事もあるけれど、グッズも基本は自分たちで買ってくれる。

 で、なんで文香の推し活動に私まで巻き込まれているんだ? 嘉くんは、私にとって推しでもなんでも無いからね。推しだと思った事は一度も無い。推しじゃん、って言われるけれど否定する。嘉くんは、私の事を推しって言ってるけどさ。



「それでさ、麻衣も行かない?」

「ちょっと待って。なんで私まで? それ、絶対にばれるって、だって一緒に住んでいるんだよ」

「麻衣は嘘が付けないからなぁ。でもさ、当日はどうなの? 数日前から準備とかリハーサルが忙しいよね。無言貫けばイケるって。ライブでレーゲンボーゲンがどんな事しているか気にならない?」

「それは、気になるけど、騙すのは良く無い」

「騙して無いって。言わないだけ」



 それ屁理屈って言わない? たまにサプライズはするけど、これやってもいいのかなぁ。レーゲンボーゲンのイベントは東京開催で、二時間ほどとそれほど長い交流では無い。

 そこで、変装しようと言われた。文香さんに任せなさいって言われたけれど不安しか無い。ライブとトークと握手会とそれほどやる事は多くは無いらしい。

 私がやったのは、ファンクラブ旅行なので、二泊三日と色んな事をやったんだよね。でも、握手会がファンにとって嬉しい事だろう。全部、文香に聞いたんだけど、かなり倍率が高くて落ちた人もいたらしい。文香はファンクラブ会員だから、少しだけ確率が上がった様だ。



 前に私のファンクラブ旅行の話を聞いて、自分たちには絶対に無理だって断言していたけれど、なんか考えが変わったようだ。そこまでスキンシップが多くなければ良いと判断したのかもしれない。嘉くんと遥くんと二人なので、その辺も分散されるからって言う理由かもしれないね。



「不安しか無いんだけど、どんな格好するのよ。レーゲンボーゲンってそれほど、奇抜な格好するファンはいないよ」



 普通に、オシャレをする人たちもいるけれど、ロックバンドの様に奇抜な格好の人はいない。遥くんがファンの男性なんて、Tシャツにジーンズとかなりラフな格好だ。女性ファンが多い中、スキンシップのあるイベントに来る男性っているのかなぁ。握手ぐらいならいるかな。


 女の子らしい格好だと、何故か直ぐに嘉くんにバレるんだよね。これまで、ファンの子たちにもMVでバレた事は無いのにだ。



「じゃあ、思い切って男装しよう」

「レーゲンボーゲンって男性のファンもいるけどさ」

「ファンクラブ入ってる男の人も結構いるよ」

「知らなかった」

「遥っちのファン多いけど」

「遥っち、それ、可愛いね」



 遥くんがそう呼ばれている事を初めて知った。そして、文香は私のために、普段とは違う格好の服を選んでくれたのだった。いや、流されている自覚あるんだけど、やっぱり、行くのか。



 * * *



 でも、やっぱり、嘉くんにバレた。内緒にしていたところから、薄々気付いていた様だ。更に私たち二人とも変装していたのに、私を見ただけで気付いた。髪色がバレない様に、ツバの広い帽子で隠した。色はオレンジ色のサマーニットに、白のスラックス。オレンジなんて、俳優デビューに着た事があったけれど、それ以来だ。で、今回は男性のものだ。


 目的はライブで歌っているところを見て、トークを聞く事だ。握手会はファンクラブ会員だけだからね。文香が取ってくれたチケットでライブを見る事は出来た。文香を待つために遠いところにいたんだけど、嘉くんが気付いて、私を手招きした。



「麻衣でしょ、なんでバレる変装してるの」

「はぁ?」



 ちょっと、間抜けな遥くんの声に、私は逃げようとしたんだけど、スタッフの人が声を掛けてきた。遥くんとスタッフの人は分かっていない様で、嘉くんの行動に驚いた様だ。そして、握手会の時にこの人はとんでもない事をした。


 しれっと、「奥さんが僕のために可愛い事してくれるんだよ?」とのたまった。「いやいや、分かるかって」って言う遥くんの驚きの表情に笑いを堪えてしまった。この男装、可愛いか?


 それで、レーゲンボーゲンもファンの子たちにもバレて、黄色い声が響いた。可愛いイケメンが男装した私の頬にキスしたんだよ? 笑い出した遥くんも笑いを堪えながら、反対側の頬にキスをする振りをした。そこは、嘉くんが嫌な顔をするので、振りだった。それが、写真におさめられたのだ。何をやらせるんだ。ぐいぐいと二人の頬を押すと、みんなが笑い出す。握手会だったのでは無いか? その後、笑いが止まらない遥くんに嘉くんは、殴られていた。いつも、仲が良い事で。



「嘉、なんで分かったんだよ」

「え、麻衣でしょ? 分かるよ」

「いやいや、分かるか!」



 いーやー、恥ずかしくて死ねる。文香に流された麻衣の敗因だよって言われた。ううう、どうしても断れないんです。それと、嘉くんたちがどんな感じのイベントしているのか気になったのも本音です。

 流石に、この写真をレーゲンボーゲンのSNSに使うのだけはやめてください。



 * * *



 ファンイベントが終わって、部屋に戻って来た私は、嘉くんの質問攻めに合っている。なんで、イベントに行こうと思ったのって言われた。素直に文香に誘われたのと、レーゲンボーゲンがどんなイベントをするのか興味があったと答えた。



「文香って、結構、強引だよね」

「いや、それ、どこの口が言いますか」

「あははは、確かに!」



 笑っているけど、嘉くんもかなり強引だからね。でもさ、って言われた。まぁ、確かに私が嫌だと言えばやめてくれるけど、文香はそうじゃ無かった。それを言ったら、絵美もだな。



「その辺さ、ちょっと、妬けるんだよね」

「なして?」

「麻衣が文香や絵美たちの我儘に乗っているのが、しょうがないな、って思っているところ」

「それ、なんか上から目線っぽくって嫌な言い方だなぁ」

「いやいや、そんな事無いよ。俺、羨ましいって思うもの」



 可愛いぞ、嘉くんは、遠慮の無い、二人に対してほんと優しすぎる。文香に誘われても、絶対に行かないと心に誓った。それ、どれくらい持つかね、って嘉くんに言われたけれど、頑張るよ。



 流されまくる麻衣でした。

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