表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虹の架け橋  作者: 藤井桜
後日談+サブキャラのお話
350/415

チョコレートの僕たち*

 プロスポーツチームの名称が出てきます。苦手な方はご注意下さいませ。


 麻衣と愛夢ちゃんがスポーツの応援歌を歌う事になって、その打ち合わせをしています。八月、九月、十月と三回に分けて続きます。その中の八月の話です。



 莉子さんに数日前に渡された企画書を確認して、その翌週に初めて私はAimu(アイム)さんに会った。きらきらした可愛い子で、私よりも二つ年下だと言うのに、見た目から年齢は分からない。会う前に莉子さんに言うと、自分の顔を見て言いなさいよ、と言われた。まぁ、私も昔から見た目が変わらないって言われますけどね。



「初めまして、中山愛夢(あいむ)です! マリ姐と呼んでも構いませんか?」

「初めまして、川村麻衣です。どんな、呼び方でも良いよ。じゃあ、私は愛夢ちゃんで」

「ありがとうございます。宜しくお願いします!」

「こちらこそ、宜しくお願いします」



 元気が良い、良すぎて愛夢ちゃんのマネージャーさんの新田結子(ゆうこ)さんは苦笑している。今回、私たちがコラボする事になったのは、二人とも同郷だからだ。宮城のプロスポーツの楽天とベガルタにちなんだ応援歌を歌わせてもらえる事になった。



「とりあえず、ユニット名を決めようと思います」

「私、そう言ったの苦手なんですよね。歌のタイトルにも悩む方なんで。愛夢ちゃんは何か候補がある?」



 名前を付けるのが苦手で、昔から決めてもらう事が多い。歌のタイトルだけはどうしても自分で考えないといけないので、いつもかなりシンプルなものになってしまう。今回は全てお任せなので、歌詞を考える事もタイトルを考える事も無いので良いのだが、流石にユニット名は決まってはいなかった。



「『Mai&Aimu』じゃダメなんですか?」

「もう少し、捻りたいわね」



 今日はプロデューサーの人も来ている。的確なアドバイスをもらって、愛夢ちゃんと一緒にユニット名について話し合っている。私はそれを人ごとの様に眺めている。で、莉子さんはそれを見て呆れている。そう、他人任せで傍観しているだけだ。



「私、旧姓が『佐藤』なんですよね。みんなに、『シュガー』と呼ばれていました」

「それ、良いかもしれないね、じゃあ、川村さんは愛称とかあります?」



 あ、傍観していた私に振られた。何も考えていなかったよ。愛称は無いね。だって、名前が二字で愛称は無かったのよね。うーん、頑張って捻り出して、私は、じゃあと言って口を開いたら莉子さんに容赦無く却下された。



「えっと、『砂糖』なら『塩』とか?」

「いや、それはないでしょう」



 流石にみんなから突っ込まれた。塩はないだろう、それじゃあ、芸人さんみたいだ、って言われた。愛夢ちゃんが私の次の発言を待って、期待しているのか目が輝いている。ごめんよ、何にも思い浮かばない。突然、振られたと言うのもあるんだけど、もう三日くらい時間もらえたら思いつくかもしれない。



「えっと、チョコレートみたいな甘いものをイメージして『bitter(ビター)』とか?」

「ああ、それ良いですね。川村さんが『bitter』でAimuちゃんが『sugar(シュガー)』それアイドルぽっくて良いですね」



 いやいや、三十半ばの男の様な見た目の女にアイドルは無いと思う。プロデューサーさん、楽しんでいないか。結局、ビターチョコレートとミルクチョコレートをイメージして、名前が決まった。それに合わせて、衣装も私は黒で愛夢ちゃんは白になった。いつもは、白が多いのでちょっと新鮮だ。



「マリ姐、黒って珍しいですよね」

「そうかな、白が多いけど次点で黒も着る、でも他の色は着ないが正しいかも」

「ああ! 確かに他の色は見た事ないです」



 私の歌も聞いてくれるし、衣装も気にしてくれている事が素直に嬉しい。可愛いとかっこいいが混じっている感じにしましょう、と言う私のスタイリストの美月さんと愛夢ちゃんのスタイリストの梓さんは楽しそうだ。梓さんなんて、色々と考えている様です。今まで、愛夢ちゃんの衣装のデザインは梓さんが決めている様だ。今回、私のもデザインしてくれる様です。



「私、ずっと川村さんの様なかっこいい人の服のデザインして見たかったんですよ。今回は、愛夢ちゃんと合わせましょうね。愛夢ちゃんらしさを残したいんだけど、どこまで『可愛い』を入れて良いですか?」

「今まで『可愛い』とは無縁だったから、どんなのが似合うかしらね」



 梓さんと美月さん、止めないと、どんどんエスカレートしそうだ。流石に莉子さんが止めに入ってくれた。今日の打ち合わせは、顔合わせとユニット名を決める事だったはずだ。今回、出来上がって来た曲の楽譜と音源をもらって、持ち帰って、練習をする事になる。来月、音合わせをして、その後も色々とやる事がある。


 もしかしたら、次までに衣装のラフが出来上がってくるかもしれないね、って愛夢ちゃんが言っているが、愛夢ちゃんの言葉に新田さん、苦笑している。本気のやつかもしれない。



「じゃあ、そう言う感じで進めていきましょう。二週間後に一度、スタジオで合わせて、直しとかいれましょう。もし、質問あったらいつでも良いので、連絡して下さい」

「はぁい! もう、ベガルタの応援歌歌えるなんて、ほんと、ベガルタファンしていて良かったよ!」



 愛夢ちゃんの台詞に新田さんは、ぼそりと「サッカーだけじゃないんだけどね」と呟いた。うん、確かに今回はサッカーだけじゃ無くて野球の応援歌でもあります。



 愛夢ちゃんとコラボの話は本編でも話題にしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ