よみうりランドと中山家
よみうりランドに行かないかと誘ったら、愛夢ちゃんは、嬉しそうに「マリ姐と一緒に行きます!」と返って来た。あれ? 誘ったの、中山家だよね。愛夢ちゃんと二人で行く事になってませんか?
嘉くんには、中山くんから返信が返って来た。子供たち予定あるから、俺たち二人でも良い? って聞いて来た。まぁ、四十代三人と三十代一人で行って、浮かないか心配なんだけど、気にしているのは私だけだった。
「ほら、誰も気にしていないじゃん」
「そうですね」
愛夢、相変わらずおもろ、って嘉くん呟いている。綾ちゃんと違う牽制をしてくるけれど、こっちは、すごく楽しんでいるな。愛夢ちゃんが私にくっついてくるのは良いみたいです。
今度の日曜日に行く事になった。平日の方が良いんだろうけど、混んでる方が気付かれにくい、でも、隠れる気のない愛夢ちゃんがいるので、中山くんいつも、諦めているって言ってた。声をかけてもらうと手を振って返してあげるらしい。サービス精神旺盛だ。
遊園地なので、動きやすい格好なので、スカートはやめた。ジーンズに白のTシャツ、上には薄紫色のシャツを羽織る。足元はスニーカーだ。嘉くんもほとんど変わらない。シャツがブルーグレーになっただけで、私と同じ様な服装だ。おしゃれの必要性は今回、考えていない。愛夢ちゃんは、相変わらず可愛かった。珍しいジーンズ姿。でも、Tシャツの上にサマーニットのピンクと白のストライプ柄のキャミソールを着ている。私も含めた、三人、ほとんど変わらない服装で愛夢ちゃんに笑われた。中山くんは、愛夢ちゃんと同じサマーニットのシャツにジーンズだ。
「愛夢ちゃん、今日はポニテじゃないのね」
「ああ、はい、乗り物に乗る時に不便だから」
ああ、なる。確かにポニテでは、後ろに背もたれがあるから、ポニテが邪魔になるだろう。なので、今日は耳の下で結んでいる。ツインテールだ。ってこれもそう呼ぶのか分からないけれど。前に絵美におさげって言ったら訂正された。
「私、ジェットコースターはこないだ、初めて花やしきで乗ったばかりなんだよね」
「ああ、じゃあ、それに近い感じのランクのからにしようか。俺たち、森本家と何度も行くんだ。遥も晃もあまり得意じゃ無いんで誘った事無かった。男だけで、遊園地って言うのも何か違うしさ」
流石に、男子だけで遊園地は引くね。愛夢ちゃんと奏子ちゃんが一緒なら確かに行こうとなるね。それと、嘉くんは誰と付き合っているかは伝えているけど、サポートメンバーのみんなと出掛ける事は無かったみたいです。
「で、嘉お前、何も言わないから、絶叫系苦手だと思うだろ」
「それこそ、男だけで行く場所じゃ無いと思ってた」
「まぁ、それにも同意なんだけどさ」
今度は奏子さんと聖良ちゃんも誘いましょうね、って愛夢ちゃん言っている。愛夢ちゃんは、遊園地好きで、地元にいた頃にもベニーランドやハイランド、リナワールドにも行ったらしい。ちなみにハイランドはもう無い。リナワールドは山形の遊園地で愛夢ちゃん、よく行ったらしい。
ジェットコースターは楽しかったです。楽しんでいる私と嘉くんを見て、中山くんは本当に意外そうに、何で今更と聞いて来た。こないだ、遥くんの姪っ子の六花ちゃんと行ったのがきっかけだと言ったら、相変わらず、誘わないと行かないんだな、お前らと言われた。まぁ、確かに。
「地元にいた頃は近くになかったし、東京に出て来てからは行こうと思わなかった」
「俺も同じ。でも、東京に出て来てからも麻衣と違って何度か行ったよ」
「私、連れて行ってもらった事無い。遊園地に誘われた事も無い」
「え、どこ行ってたの」
「部屋で映画?」
そして、何かを察したのか嘉くんはそれ以上は聞いてこなかった。交際期間短くて、直ぐに振られるし、基本は飲みに連れて行ってもらうか、部屋で映画だね。それと、まぁ、嘉くんがあまり良い顔をしない事かな。
そして、嘉くんと付き合う様になってからは、私が外に出るのが好きじゃ無い事を最初から伝えてあったので、誘われた事は一度も無い。六花ちゃんに誘われるまで、遊園地が楽しいものだって知らなかったからね。
「こないだ、観覧車乗れなかったの」
「二人で乗っといで」
私の言葉に嘉くんが笑い出した。疑問に思っていると、愛夢ちゃんが教えてくれた。中山くん、高いところが苦手だそうだ。
「流石に私でも、二人の邪魔したくないから、マリ姐、浅生さんと乗って来てよ。私たちは休憩してるよ」
愛夢ちゃんも空気を読んでくれた。お言葉に甘えて私は念願の観覧車に乗る事が出来たのだった。観覧車は場所によって、景色が全然違うので見ていると楽しい。嘉くんのテンションも上がっているのか、すごく楽しそうだ。夕空がとても綺麗で、ビルの上から見る景色とはまた違っていてとても良かったです。
荘太郎くんの情報が増えました。高いところが苦手です。初めて、一緒に行った時に痩せ我慢していた荘太郎くんだったのですが、愛夢ちゃんに直ぐにバレました。一緒に乗ってくれるのは嬉しいけど、無理しなくていいよ、と言われました。




